1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10044259
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Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
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Section | Joint Research . |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
神谷 香一郎 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (50194973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MICHAEL Sang アメリカ合衆国, ユタ大学・内科学, 教授
安井 健二 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (70283471)
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Keywords | イオンチャネル / 突然死 / QT延長症候群 / Kチャネル阻害薬 / 抗不整脈薬 |
Research Abstract |
本年度は本計画初年度であり、卵母細胞に遺伝子を注入し、発現した膜電流を測定する一連の技術の修得と、日本側にて同実験系を構築することを第一の目標としていた。いずれも順調に経過し、数ヶ月の期間にて終了することができた。そのため、実際にKチャネル阻害薬とK電流の相互作用について、いくつかの新たな知見を得ることができた。以下にその概要を述べる。、 心筋活動電位の再分極を規定する遅延整流K電流は、その開閉機構や薬物に対する感受性の違いから二種類(IKrとIKs)に分けられている。それらのイオンチャネルをコードする遺伝子の異常は、心電図QT時間を延長させ、致死性の不整脈を生じて突然死を起こす(QT延長症候群)とされる。本実験では、こIKrをコードするHerg遺伝子、IKsをコードするKVLQT1遺伝子をアフリカツメガエルの卵母細胞に注入し、発現した電流に対するKチャネル阻害薬の作用機序を検討した。使用した薬物は、現在臨床的に死亡率低下作用が確認されているamiodaroneとvesnarinoneである。両薬剤ともHerg電流を選択的に抑制し、KVLQT1電流には高濃度にてもほとんど抑制作用を示さなかった。また、通常の膜電位レベルではチャネルの不活性化状態が出現しない変異Herg遺伝子(S631A)を用いて、vesnarinoneは開放状態のHergチャネルに結合してこれを抑制し、閉鎖状態の同チャネルから解離して抑制作用がとれることを確認した。このような薬剤の性質は、病態下の心臓における抗不整脈抑制に有効で、頻脈性の不整脈の出現時に薬物によるKチャネル抑制が出現して抗不整脈作用を示すことを意味しており、抗不整脈薬として望ましい性質といえる。今後このような適当なイオンチャネル変異遺伝子を発現させてそれに対する薬剤の作用を検討することにより、薬剤のもつ有用な作用についての明確な回答が得られるとおもわれる。 以上の実験結果の一部は、本年度の日本循環器学会総会にて発表予定である。
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