1998 Fiscal Year Annual Research Report
環境ストレス時の免疫修飾における,脳・腸・肝・免疫連関の意義
Project/Area Number |
10044302
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Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
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Section | Joint Research . |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
堀 哲朗 九州大学, 医学部, 教授 (00022814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有村 章 チューレン大学, 米日生物医学研究所, 教授
武 幸子 九州大学, 医学部, 助手 (80253425)
高木 厚司 九州大学, 医学部, 助手 (30243934)
片淵 俊彦 九州大学, 医学部, 講師 (80177401)
粟生 修司 九州大学, 医学部, 助教授 (40150908)
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Keywords | 脳・腸・肝・免疫連関 / エンドトキシン / IL-6 / フットショックストレス / FITC-LPS / クッパー細胞 / 腸管粘膜バリアー |
Research Abstract |
研究目的:脳と免疫系は相互連関しながらも、一つの個体として合目的な方向(個体保存や種の保存)に機能している。我々はこれまでに、侵害ストレス時の脾臓交感神経系を介した免疫抑制メカニズムを明らかにしてきたが、最近、同様のストレス時に朝刊や肝臓で免疫応答が促進することを見出した。そこで本研究では、(1)腸管粘膜バリアの神経性制御機構や、(2)腸交感神経を介した免疫応答の促進機序、(3)肝門脈から脳への信号伝達経路及びその脳内機序、等の解明を目指す。 研究成果:本年度は、以下の5点を明らかにした。(1)軽度の非炎症性ストレスであるフットショックストレスによっても、炎症性サイトカインであるIL-6の末梢循環血中濃度が一過性に増加する。(2)IL-6の濃度増加は、一般末梢血中よりも肝門脈中の方が早い。(3)腸管にFITCラベルしたLPSを持続投与すると、FITC-LPSは一般静脈血、肝臓、脾臓、その他腸管周辺組織中で検出されるが、これらの取り込み量もフットショックストレス負荷で増加する。(4)循環血中のLPSを中和してやると、フットショックによる血中IL-6増加が減弱する。(5)肝臓でFITC-LPSを取り込んだクッパー細胞で同時にIL-6の産生増加が観察される。 以上の結果より、非炎症性ストレスによっても腸管粘膜バリアーの一時的な破綻が起こり、腸管内に常在するLPSが血中さらに周辺組織、特に肝臓に移行することにより、IL-6の産生及び遊離の増加が起こり、ひいては生体の抵抗性を高めている可能性が示唆された.
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