1999 Fiscal Year Annual Research Report
先天性スフィンゴ脂質代謝異常症の遺伝子治療に関する基礎的研究
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10044321
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Research Institution | The Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
衞藤 義勝 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (50056909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GIESELMANN V. キール大学, 医学部, 教授
BARRANGER J. A. ピッツバーグ大学, 医学部, 教授
BRADY R. O. NIH Developmental and Metabolic Neuroligy, 部長
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Keywords | 先天代謝異常症 / 遺伝子変異 / 遺伝子治療 / 中枢神経症状 / 動物モデル |
Research Abstract |
先天性スフィンゴ脂質代謝異常症の遺伝子治療に関する研究を展開するにあたり本年度はゴーシェ病、異染性白質変性症、スライ病についてその分子生物病態及び動物モデルを用いた研究をおこなった。47例の日本人ゴーシェ病の遺伝子変異をPCR法とSSCP法で同定したところ約85%の遺伝子変異が同定できたが、神経型と非神経型とを遺伝子型で鑑別することは不可能であった。また、日本人ゴーシェ病35例の臨床症状を検討し欧米人に比較し重症度が高いことを明らかにした。急性神経型ゴーシェ病の酵素補充療法の効果を病理学的に検討するとともに、水頭症、心弁膜症などの特異な臨床症状を呈する神経型ゴーシェ病の遺伝子変異解析をおこなった。異染性白質変性症の日本人症例11例の遺伝子変異分布を解析し、G99D変異が日本人に多く認められることを明かにするとともに2つの新しい遺伝子変異を同定した。スライ病の動物モデルを用いて遺伝子治療の治療の可能性を検討した。グルクロニダーゼ遺伝子をアデノウイルスベクターを用いて経静脈的に導入したところ肝、脾での酵素活性の上昇を認めたが脳においては酵素活性の上昇は認められなかった。そこで、側脳室内への直接導入法を試みたところ脳の酵素活性は正常の30%まで上昇した。酵素は上衣細胞と脈絡叢に主に認められたが、一部は脳の間質にも発現していた。また、スライ病の動物モデルに対してレトロウイルスベクターにグルクロニダーゼを組み込み、ヒト臍帯血より分離、精製した造血幹細胞(CD34陽性細胞)を標的臓器として遺伝子治療を試みた。導入効率はCFU-GMで平均66.8%、LTCIC(long-term culture initiating cell)では20%と50%であった。グルクロニダーゼ活性は5週間正常レベルを維持していた。以上の遺伝子治療に関する基礎的実験データは遺伝性脳変性疾患における遺伝子治療の可能性を示唆するものであった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Eto Y., Ida H.: "Clinical and molecular Characteristics of Japanese Gaucher Disease"Neurochem Res. 24(2). 207-211 (1999)
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[Publications] Ohashi T., Yokoo T., Eto Y., et al.: "Eduction of Lysosomal storage in Murine Mucoplysaccharidosis・・・"Blood. (in press). (2000)
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[Publications] Watabe K., Ohashi T., Eto Y., et al.: "Rescue of lesioned adult rat spinal motoneurons by・・・"Journal of Neuroscience Research. (in press). (2000)
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[Publications] Ida H., Rennert OM., Eto Y., et al.: "Clinical and genetic studies of Japanese homozygotes for the・・・"Hum Genet. 105. 120-126 (1999)
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[Publications] Oishi K., Ida H., Eto Y., et al.: "Clinical and molecular of Japanese patients with neuronal・・・"Molecular Genetics and Metabolism. 66. 344-348 (1999)
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[Publications] Yokoo T., Ohashi T., Eto Y., et al.: "Prophyaxis of Antibody-Induced Acute Glomerulonephritis・・・"Hum Gene Ther. 10. 2673-2678 (1999)