1999 Fiscal Year Annual Research Report
循環関連ペプチドの中枢神経系における役割の解明-遺伝学・分子生物学・形態学・薬理学及び生理学的解析-
Project/Area Number |
10044332
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health |
Principal Investigator |
山下 博 産業医科大学, 医学部, 教授 (00030841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲永 清敏 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (90131903)
上田 陽一 産業医科大学, 医学部, 講師 (10232745)
澁谷 泉 産業医科大学, 医学部, 助教授 (50162649)
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Keywords | バゾプレッシン / アドレノメデユリン / オキシトシン / オレキシン / レプチン / ウロコルチン / PACAP |
Research Abstract |
本研究では、循環関連ペプチドの中枢神経系における役割を最先端の遺伝学、分子生物学、形態学、薬理学および生理学的手法を用いて、遺伝・分子レベルから行動レベルに至るまで総合的に解明することを目的とした。(1)遺伝性多飲マウスの視床下部においてバゾプレッシン遺伝子が過剰に発現していることを明らかにした。(2)アドレノメデユリンの視床下部における分布、軸索流によって下垂体後葉に運ばれていることを証明した。脳室内に投与したアドレノメデユリンは、視床下部オキシトシン分泌ニューロンを選択的に活性化し、血中オキシトシン濃度を増加させることが明らかとなった。(3)オレキシンは、視床下部外側野およびその周辺に限局したニューロンによって産生され、脳内の多くの部位のその軸索を投射していることを明らかにした。オレキシンの脳室内投与によって視床下部-下垂体-副腎系が賦活されることを見いだした。ラット生後発達に伴うオレキシン遺伝子の視床下部における発現を調べたところ、生後15-20日に急激に増加することが明らかとなった。(4)レプチンの脳室内投与により、視床下部の神経型NO合成酵素、CRHおよびTRHの遺伝子発現の変動が修飾されることを明らかにした。(5)CRHファミリーとして発見されたウロコルチンの産生細胞が視床下部視索上核に存在すること、食塩感受性高血圧モデルラットで著明に増加していることを見いだした。(6)PACAPの脳室内投与により視床下部バゾプレッシン分泌ニューロンが活性化されること、バゾプレッシン遺伝子の転写が増加することを明らかにした。カイニン酸誘発てんかんモデルラットの視床下部室傍核小細胞群にPACAPmRNAが著明に発現することを見いだした。このように多様なペプチドの作用を検討してきたが、今後さらに神経ペプチドの中枢性作用の重要性が明らかになるものと期待される。
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