Research Abstract |
1. メキシコ・バハカリフォルニア半島(南北1,500km)における乾燥地の砂漠化,農業の問題についての現状を,メキシコ北西部生物学研究センターと共同で,現地調査した. 2. 耕地においては,潅漑による土壌の塩類化・アルカリ化は徐々に,一部では急速に進行しており,放棄されている地域も拡大していた.また,地下水の水量の減少と,地下水層の急速な低下,さらに塩水化も進行しており,栽培作物に対する大きな脅威となっていた.さらに土壌線虫による作物の被害も拡大してきていた.現状では,これら土壌劣化に対する対策は十分でなく,安定した作物生産のために,早急に対策を確立する必要がある.3. 栽培管理,水管理,施肥管理等についても問題点があり,改善の必要がある.4. 自然生態系では,巨大なサボテン(300〜400年生)のたち枯れ地域が,急速に拡大しており,原因の究明と対策が必要である.この問題は,これまであまり表面化していない新しい,深刻な問題である. 5. 耕地,自然生態系ともに土壌流出(エロージョン)が大きな問題であり,対策が必要.6. 現地調査は各専門分野の意見とともに,問題点を総合的にとらえ,共通の認識にできた点でも大きな成果が得られた. 7. メキシコ北西部生物学研究センターの研究員を日本に招へいし,鳥取大学で乾燥地研究のために進めている優れた環境制御,栽培管理,水管理,化学分析システム,情報解析等,先端的な研究を紹介したが,メキシコ側にとって,極めて大きな成果であった. 8. 鳥取大学とメキシコで,それぞれ研究発表,研究交流会を計4回開催し,砂漠化防止と持続的な農業生産についての情報の交換を行った.現状の理解と,相互の理解の上で非常に有意義であった.
|