2000 Fiscal Year Annual Research Report
変動する地域社会の中の子どもと学校:子どもの問題行動の比較文化的研究
Project/Area Number |
10045001
|
Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
昼田 源四郎 福島大学, 教育学部, 教授 (40282248)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
初澤 敏生 福島大学, 教育学部, 助教授 (10211476)
松崎 博文 福島大学, 教育学部, 教授 (40114003)
中野 明徳 福島大学, 教育学部, 教授 (20119605)
|
Keywords | 問題行動 / 不登校 / 暴力 / 日米比較 / 学校カウンセラー / 中学生 |
Research Abstract |
1.平成12年7月に、福島市内の中学2年生とその保護者、調査対象校の教員を対象にアンケート調査を行った。2年生の全クラスから4分の1を無作為に抽出し、調査対象となった18校の生徒938名、保護者760名、教師355名から回答を得た。すでにデーター入力は終了し、現在、解析作業を進めているが、興味深い結果が得られている。たとえば、「中学校になってから、学校に行くのがいやになったことがあるか」との質問に、3割の生徒が「よくある」「ときどきある」と答え、友人や教師に「暴力をふるう」ことは「とても悪い」「悪い」と9割の生徒が答えつつも、「思いきり誰かを殴ってみたい」「手あたりしだい物を壊してみたい」と思うことが「よくある」「時々ある」と5〜6割の生徒が答えている。これは不登校や暴力への傾向を、多くの生徒が潜在的に共有していることを示唆するデーターとして注目される。なお、米国ミドルテネシー州立大学(MTSU)の共同研究者が、ナッシュビル市の8年生(日本の中学2年生に相当)とその保護者、調査対象校の教員を対象に、同内容の英語版の質問紙をもちいたアンケート調査を平成13年2月に終了した。現在、入力作業が進められており、終了しだいに福大側に入力データーが送付され、本格的な日米の比較検討が行われる。なお、調査対象校側の都合により、調査の実施が当初の予定より遅くなったため、最終的な「研究成果報告書」の提出は、平成14年3月を予定している。 2.平成12年9月に、福大側2名がMTSUに出向き、MTSU側メンバーと日本語版質問紙の最終版に基づき英語版質問紙を完成させ、調査方法や回収後のデーター処理の方法、報告書の執筆分担等につき、細部にわたり協議してきた。また、調査対象となるナッシュビル市内の中学校を訪問し、学校カウンセラーの活動を見学するとともに業務の内容などにつき聞き取りを行った。今回は、ガイダンス・カウンセラーが、生徒に自分の将来の進路や職業を具体的に思い描かせ、学習への動機づけをはかるグループ・ワークを見学することができた。問題行動が起こってからの事後的処置ではなく、生徒の学習動機や社会的スキルを高め、学校集団への参加意欲を高めるプログラムなど、予防的な取り組みに力を入れている状況が見学でき参考になった。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] J・ウィリアムズ(中野明徳訳・解説): "アメリカの学校における問題行動の取り組み―そのプログラムと戦略―"福島大学教育学部論集. 68号. 19-24 (2000)
-
[Publications] B・ヒグドン(松崎博文訳・解説): "早期療育と読字障害"福島大学教育学部論集. 69号. 37-48 (2000)
-
[Publications] 青木真理,中野明徳,昼田源四郎,水野晴夫: "教育実践総合センター「教育相談」研修講座について 第3報"福島大学教育実践研究紀要. 38号. 111-118 (2000)
-
[Publications] 坂本淳史,中野明徳: "不登校児の転帰に影響を及ぼす要因の一考察-メンタルフレンドとして関わった事例を通して"福島大学教育実践研究紀要. 39号. 39-46 (2000)
-
[Publications] 中野明徳: "いじめと不登校の深層"精神文化研究所. 122 (2000)