2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10045017
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
吾郷 眞一 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (50114202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徐 治文 九州大学, 大学院・法学研究院, 助教授 (60264008)
植田 信廣 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (70125996)
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Keywords | アジア法 / タイ民商法 / 法制度改革 / 中国経済法 / 法の社会的基盤 / 西欧法導入 |
Research Abstract |
最終年度の平成12年度は、中国法とタイ法に特に着目して計画を締めくくった。タイのチュラロンコン大学およびタマサート大学との共同研究からわかったことは、植民地支配のなかったアジア地域においては、伝統社会の中に西欧法をそれぞれの社会に適合する工夫をした上で取り込むという19世紀以来日本も経験したことと同様な作業を今日も行っているということであった。とりわけ経済法に特化した最終年度での研究は消費者保護法、知的財産法、会社法、情報公開法など、両国が抱えている法制度改革問題を比較検討することによって、植民地化されなかったという意味において比較的同一の歴史状況を共有する両国にとって、グローバル化した現代における法律問題に多くの共通項があることが確認された。中国との共同研究でも、やはり経済法の領域を抽出し、どのような姿勢で法制度改革に臨んでいるかを研究した。中国では市場経済への移行という大きな国家目標の下で、経済法を中心に精力的な法制度改革が行われており、本研究で特に焦点をあてた商法についての特別共同研究において法による国家構造改革がきわめて重要であることが明らかになった。日本法がおかれている問題関心とは異なる部分もあったが、新鮮な視点を見出すこともできた。太平洋地域、すなわちカナダとニュージーランドの協力校のインプットは最終年度では最小限になったが、これは、「アジア法」を考える場合、基本的にコモンローを中心に西欧法そのものを実践している両国の経験は、本研究の主題にとって、必ずしも大きな影響をもつものではないことがわかってきたためである。成果報告書の付録に収録したいくつかの論文は、本研究の具体的な成果であるとともに、将来のアジア法研究にとっての土台となるものである。
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[Publications] 吾郷眞一: "書評「香川孝三著・アジアの労働と法」"日本労働研究雑誌. 483号. 64-66 (2000)
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[Publications] 植田信広: "倪正茂講演・西洋政治哲学と中国近代社会の発展"『法政研究』. 66巻1号. 261-283 (1999)
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[Publications] 徐治文: "法と経済学の会社法理論(三)・完"『法政研究』. 65巻2号. 409-455 (1998)
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[Publications] 李黎明: "中国の株式合作企業に関する法的考察"中国研究月報. 606号. (1998)
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[Publications] Halkyard,Andrew: "The Hong Kong Tax Paradox"Revenue Law Journal. Vol.8. 1-35 (1998)
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[Publications] Petchsiri,Apirat: "Experience of European Studies in Thailand"Law,Justice and Open Society in Asean. 467-471 (1997)
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[Publications] "Development of Legal Systems in Asia"Kyushu Univ/Thammasat Univ. . 388 (1999)
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[Publications] Tingsabadh,Piruna: "Law,Justice and Open Society in Asean"Konrad adenauer Stiftung. 527 (1998)