1999 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアにおける人の移動に伴う寄生虫症の動態に関する研究
Project/Area Number |
10045067
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
寺田 護 浜松医科大学, 医学部, 教授 (30046297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 民生 名古屋大学, 医学部, 助手 (90293620)
石井 明 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (50107801)
記野 秀人 浜松医科大学, 医学部, 助手 (70115476)
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Keywords | マレーシア / 移民 / 輸入寄生虫症 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き、マレーシアにおける合法および不法移民の寄生虫感染状況について2回の野外調査を実施した。調査時は昨年度と同じセランガ州にあるカレー島のヤシ油プランテーション(1999年9月)とネゲリ・センビラン州レンゲンにある不法移民の抑留キャンプ(2000年2月)である。しかし、対象とした移民は異なっており、特に後者では対象を入国後数日以内のものに限定し、母国から持ち込んだ寄生虫症の検出に努めた。 本年度第2回目の調査の結果は現時点では全部が確定はしていないが、全体的に昨年度と同様の結果が得られている。過去2年間の調査をまとめると、赤痢アメーバやクリプトスポリジウムなど病原性の高い寄生虫症が不法移民に多く見られ、彼らの移入がこれらの寄生虫症の蔓延をもたらす要因となる可能性が示唆された。一方、腸管寄生線虫症はいずれの群でも高かったが、むしろ対照群で回虫症の割合が高いことが目立った。これは特にプランテーションの職員で顕著であったが、その理由は不明である。合法移民には総じて目立った感染は見られなかったが、昨年度第2回の調査で14%に熱帯熱マラリア原虫が認められたことが特徴であった。しかし、その後の調査では検出されておらず、調査時期、検査方法などについてさらに検討する必要性が感じられた。 これまでの調査では対象群を調査地の職員などに限定していたが、マレ-シア全体での寄生虫症の現状を把握し移民との対比を明確にする意味から、今後の調査では対照群の数を増やすと同時に一般的な都市労働者なども加える必要があると考えられる。
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