1998 Fiscal Year Annual Research Report
明治初期大新聞・小新聞の語彙変遷に関する数量的分析
Project/Area Number |
10111219
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
土屋 礼子 大阪市立大学, 文学部, 助教授 (00275504)
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Keywords | 数量的分析 / 語彙 / 新聞 / 文体 / 明治時代 |
Research Abstract |
今年度は、過去二年間におこなった小新聞四紙『いろは新聞』『東京絵入新聞』『読売新聞』および『朝日新聞』に関する調査をふまえて、大新聞二紙『東京日日新聞』『郵便報知新聞』の語彙調査をおこなった。また、明治14年(1885)から以降の語彙変化を探るために、明治18年および22年の小新聞および大新聞の調査と比較も行った。 まず記事の長さと件数では、大新聞は一号当たりの総字数が一万六千字から二万字ほどあり、明治14年では小新聞の倍であったが、明治18年および22年には小新聞の字数も増加して一万字を超え、量的に大小新聞が接近したのが証明された。また明治14年の大新聞では論説が2割以上を占めたのに対し、小新聞では人情記事が3〜7割を占めていたが、明治18年および22年では人情記事の割合が減少し、論説が8%程を占めるようになった。品詞分類では、大小新聞とも大きな傾向は共通しているが大新聞では普通名詞、固有名詞、数詞、接続詞など体言の割合が総体的に高く、小新聞では動詞、形容詞、副詞、感動詞など用言の割合いが大きい傾向が現れた。また、名詞のうち漢字二字語のふりがなにおける字音と字訓の割合、および動詞のうち「〜する」という字音漢語の割合に注目してみた漢語の浸透度では、大新聞の方が小新聞をいずれも上回った。これらは大新聞と小新聞の文体の相違と変遷を特徴づける知見である。最終年度にあたり、以上の成果にさらに現時点ではまだ分析中の事項を補足を加え報告書にまとめて提出する予定である。
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Research Products
(1 results)