1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10111232
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
中谷 英明 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (20140395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳永 宗雄 京都大学, 文学研究科, 教授 (70143998)
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Keywords | 叙事詩 / マハーバーラタ / 韻律 / 無意識的領域 / アヌシュトゥブ / トリシュトゥブ / 自由律部 / 統計分析 |
Research Abstract |
本年度は4年間の研究のしめくくりの年として,これまでの研究の総括と,更なる研究の展望を行った。その概要は以下のとおりである。 1. 『マハーバーラタ』の内容と韻律のあいだの相関関係が,トリシュトゥブ,アヌシュトウブ両韻律について確認された。 2. 内容を「導入部」,「概括部」,「物語展開部」と3分した時,最も詩形が自由な形を持つのは,「物語部」であり,「導入部」は最も固定している。「概括部」はその中間に位置する。 3. 韻律形式において,これら層分けに有効な因子は,その自由律部分,言い換えれば作詞者のもっとも意識的でない部分に確認される。 4. 今回の分析により,叙事詩の上記両韻律は,豊かなヴァリエーションを備えた古層から,しだいに各部が固定化され,形式の豊かさを失った新層へと発展していったことが確認された。 5. 今後は,さらに分析の網を細かくし,より小さい単元(マイナー・パルヴァン)ごとの変化を綿密に分析して叙事詩成立の経過を明らかにしたい。
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[Publications] 中谷英明: "「インド仏教文献学の基礎知識」" 御牧克己編『仏教学を学ぶ人にために』世界思想社. (印刷中).
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[Publications] 中谷英明: "「『リグ・ヴェーダ』におけるアヌシュトゥブ律の成立-インドで最も好まれる韻律の始まりについて-」" 特定領域研究「人文科学とコンピュータ」1998年度研究成果報告(CD-ROM). (1999)
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[Publications] 中谷英明: "「『スッタニパータ』について」" 日仏東洋学会『通信』. 22号. 4-13 (1998)
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[Publications] 中谷英明: "「古典学におけるデータベースと統計処理-インド学の場合-」" 『シンポジウム・人文科学における数量的分析『2. 89-102 (1997)
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[Publications] 徳永宗雄: "The Brhaddevata" Rinsen Book Co.,Kyoto, lviii+398 (1997)