1998 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロデータを用いた家族の家庭内活動と就業行動の分析
Project/Area Number |
10113113
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
永瀬 伸子 お茶の水女子大学, 生活科学部, 助教授 (30277355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玄田 有史 学習院大学, 経済学部, 助教授 (90245366)
上田 貴子 筑波大学, 社会工学系, 助手 (00264581)
脇坂 明 岡山大学, 経済学部, 教授 (90158600)
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Keywords | 家庭内生産 / 就業選択 / 家事時間 / 育児時間 / 余暇活動 |
Research Abstract |
総務庁『社会生活基本調査』のミクロデータを用い、個別の夫婦について、活動時間をマッチさせ、家事、余暇、育児などの活動時間を再集計、計量分析を行った。夫婦フルタイム共働き世帯、夫雇用者妻パートタイム世帯、夫雇用者妻専業主婦世帯で、妻の活動時間には大きい差異が見られたが、夫の活動時間には大きい差異が見られなかった。しかし夫婦の時間調整を同時方程式によって推計すると、夫の家事分担が増えると妻の家事時間が減る効果は実際に見られ、また子供年齢が幼いほど、妻のみならず夫の家事時間(育児時間を含む)も大きく増加する効果が推計された。ただし推定係数から考えると、夫の家事時間が10分増加しても妻の家事負担は2-3分程度しか減少せず、夫の家事時間を10分増やすためには、30分以上の仕事時間の減少が必要という程度の規模である。また市場財と家庭内生産財の完全代替を仮定した経済モデルの予想と異なり、世帯収入の増加が家庭内生産財の需要を高めることが示された。豊かさといった財を生産するための、家庭内での時間投入と市場財投入が完全に代替的ではなく、所得の増加がより家庭内時間集約的な財需要を高めるという解釈、あるいは夫婦間の交渉(力関係)によるという解釈が可能である。実際の妻の収入が上昇すると、妻の家庭内生産時間のみならず、夫の家庭内生産時間も増加し、夫婦間で家事分担がすすむことも示された。 育児時間の分析では、育児時間が末子年齢に大きく依存し、母親がフルタイム就業者でも専業主婦でも育児時間の差が比較的小さいこと、末子が3歳以上で特に家事時間、ついで余暇時間にフルタイム就業の母親と専業主婦とで大きい差が出ること、さらに9歳以降、大幅に育児時間が縮小、ゆるやかに母親の就業率が上昇することなどが示された。このほか、高齢者の生活時間、学歴と余暇活動、育児時間と施設利用などを分析した。
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