1998 Fiscal Year Annual Research Report
先史・原史時代の遺跡より産する人骨・獣骨の分子考古学的研究
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10115102
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小澤 智生 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (80037233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西中川 駿 鹿児島大学, 農学部, 教授 (70041639)
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Keywords | 分子考古学 / 先史時代 / 縄文・弥生時代 / イノシシ類 / 家畜豚 / 港川人 / 古代DNA / ミトコンドリアDNA |
Research Abstract |
ユーラシア大陸及び東アジア・東南アジアの島嶼域に棲息するイノシシ属(Sus)の野生種7種7亜種26個体及び家畜豚34個体計60個体についてミトコンドリアDNAシトクロームbの全塩基配列(1140塩基対)および変異サイトを含むミトコンドリアDNAのD-1oop領域の一部(286塩基対)の配列決定を行い,これまでに報告された4種7亜種12個体のデータをあわせ分子系統学的解析をおこなった,その結果,各地域の野生種と家畜豚が分子系統学的にクラスターを形成する傾向が明らかになった.今回作成した分子系統樹から,家畜豚は多地域における民族によって異なった種(ユーラシアイノシシ,フィリピンイノシシ,セレベスイノシシ)から,またユーラシアイノシシの異なった亜種(インドイノシシ,スマトライノシシ,キタシナイノシシ)から多元的に家畜化されたことが明らかになった. これらの基礎研究をふまえ,考古学的遺跡産のイノシシ試料として,与論・徳之島の貝塚産試料,九州を代表する縄文中期から縄文後期の4遺跡,弥生中期から後期の4遺跡産の試料から古代DNAの抽出を行い,PCRでミトコンドリアDNAのD-1oop領域およびシトクロームb遺伝子領域の一部をPCRで増幅を行ない,各時代の試料からの増幅を確認した.縄文時代晩期の佐賀県菜畑遺跡産のいわゆる古代豚の骨からの古代DNAの抽出物を用いて,ミトコンドリアDNAのD-1oop領域の一部をPCRで増幅し,その断片の配列を決定したたが,まだ配列データが少ないため家畜豚と断定するには到らなかった. なお,港川人の骨片よりミトコンドリアDNAのD-1oop領域の一部(61塩基対)の配列決定を行い,韓国人の一部などから報告されている東北アジア人に固有の配列を得たが,これが外来DNAのコンタミネーションであるが港川人由来かはこれからの検討課題として残った.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Uchihi,R.,Ozawa,T.et al.: "DNA analysis of a grandfather-father-son relationship from 300-year old remains of the Date Clan in Japan." Japanese Jouranl of Legal Medicine. 52. 157-162 (1998)
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[Publications] Kuwayama,R.,Ozawa,T.et al.: "Fossil red deer Cervus elaphus from the sea-floor of the East China Sea off Amakusa shimoshima Island,southwestern Kyushu,Japan." Paleontological Research. 2(1). 1-11 (1998)
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[Publications] Kumazawa Y.,Ozawa,T.et al.: "The complete nucleotide sequence of a snake (Dinodon semicarinatus)mitochondrial genome with two identical control regions." Genetics. 150(1):. 313-329 (1998)