1998 Fiscal Year Annual Research Report
シス型ポリアセチレンの巨視的量子核形成における相互作用の効果
Project/Area Number |
10120229
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
中原 幹夫 近畿大学, 理工学部, 助教授 (90189019)
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Keywords | 量子核形成 / シス型ポリアセチレン / 汎関数行列式 / WKB解析 / Coulomb相互作用 / 補助場 |
Research Abstract |
結合したboson-fermion系における量子トンネル現象の例として、前年度に続きcis-polyacetyleneの準安定相(trans-cisoid)から安定相(cis-transoid)への量子崩壊を解析した。前年度は任意のポラロン背景のもとでのポテンシャル・プロファイルを求め、ゼロ・エネルギー状態からの量子核形成、とくに核形成経路を議論した。本年度はこれをさらに進め、核形成経路に沿う仮想束縛状態の基底エネルギーをWKB近似で求め、この状態からの核形成を解析した。その結果、ゼロ・エネルギー状態からの核形成に比べるとサイトあたりの核形成確率は約10^5増加することが示された。 次に、on-site Coulomb相互作用を考慮するために、電荷密度p(x)を求めた。我々のアプローチは、Dirac作用素を形式的に積分し、そこで得られた汎関数行列式を使って全電子エネルギーとエネルギー・プロファイルを求めるのであるが、この方法では原理的に固有値と固有関数を個別に求め、それからp(x)を求めることもできる。しかし、実際には数値的なエラーの蓄積があり、これは困難であった。そこで、相互作用項として、形式的にp(x)^2/2-ψ^t(X)p(x)ψ(x)を加え、p(x)に関して変分を数値的に実行した。その結果、p(x)=Σ_nψ^t_n(x)ψ(x)を良い精度で求めることができた。Coulomb相互作用を考慮したポテンシャル・プロファイルの計算、およびこの時の量子核形成は現在進行中である。 なお、前年度の結果とWKB解析の結果は現在投稿準備中である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 中原 幹夫、小川伸一郎、大見哲巨: "cis-polyacetyleneにおける巨視的量子核形成" TT News Letter. No.6. 22-27 (1998)
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[Publications] 中原 幹夫: "超流動^3Heと宇宙論" 物性研だより. 38. 71-71 (1998)
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[Publications] M.Kubo,Z.Maki M.Nakahara,T.Saito: "Grand Uniflcation from Gauge Theory in M_4XZ_N" Prog.Theor.Phys.100. 165-177 (1998)
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[Publications] 中原 幹夫: "経路積分とその応用" 東京大学数理科学セミナリー・ノート. No.15. 1-88 (1998)