1998 Fiscal Year Annual Research Report
超塑性を示す超微細結晶粒材料の粒界原子構造の電子構造の研究
Project/Area Number |
10122204
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
市野瀬 英喜 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (30159842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮沢 薫一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (60182010)
伊藤 邦夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20010803)
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Keywords | 超塑性 / ダイヤモンド / 高分解能電子顕微鏡 / カーボンナノチューブ / σ結合 / π結合 / 超微細結晶粒 / 結晶粒界 |
Research Abstract |
本研究は超塑性現象を「構造」の立場から追求解析し、設計の概念・手法を超塑性材料開発に導入することを目指した。具体的には、組織(構造)的共通項である"微細粒"を実現し、電子顕微鏡による組織構造観察、電子線回折による方位関係の分布、高分解能電子顕微鏡による原子構造観察及び電子エネルギー損失分光法(EELS)による電子構造の解析を、主として結晶粒界に関して行ない、特に超塑性困難な物質の超塑性材料化の方策を探る。対象は最も硬いことで知られるダイヤモンドとした。常識的には塑性変形すら非常に困難である。しかし、超微細結晶粒が得やすくEELS解析に適し、基礎研究に好適である。超微細粒多結晶ダイヤモンドは、改良型MOCVD法によって、作成した。組織は、μmレベルの結晶が更に数十ナノメートルの結晶粒よりなる二重構造をなす。粒界はΣ3CSLが最も多く、ランダム粒界は少ない。最大の特徴は、粒界中の3配位原子が、π結合によって周囲と結ばれていることにある。π結合の数は粒界の種類によって異なった。これは、グラファイトが滑りやすいことから想像できるように、σ結合とπ結合のバランスを、それぞれの粒界で案配することが出来れば、粒界滑りによる可塑ダイヤモンドが、不可能でないことを示唆する。この知見をもとに、最も小さな(薄い)炭素結晶であるカーボンナノチューブの電顕中その場変形を行ったところ、見事に塑性変形した。塑性変形は転位の移動によらず、sp3-πの中に、局所的にダイヤモンド型のsp3が出来て、これが移動することに依った。本研究により、可塑ダイヤモンドへの途が、僅かながら開けたと自負する。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Ichinose: "Atomic and electronic Structure of Diamond Grain Boundaries in a Polycrystalline Film" MRS Proc. 472. 93-98 (1997)
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[Publications] H.ichinose: "Application of spatially resolved eels on atomic structure determination of diamond grain boundary" MRS Symp.Proc. 466. 273-278 (1997)
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[Publications] Kizuka.T: "Structure and hardness of nanocrystalline silver" J.Materials Sci. 32. 105-1057 (1997)
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[Publications] Y.Yamada: "sp2→sp3 transition in boron nitride films deposited by bias sputtering" Proc.13th Int.Symp.on Plasma Chemistry. 3. 109-1099 (1997)
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[Publications] T.Kuzumaki: "Structure and Deformation Behavior of Carbon Nanotubes Reinforced Nanocrystalline C60 Composite" J.Japan Inst.Metals. 61(4). 319-325 (1997)
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[Publications] K.Kohyama: "Tight-Binding Calculation of the {211}Σ=3 Boundary in Diamond" Interface Science. 4. 157-167 (1997)