1998 Fiscal Year Annual Research Report
架橋化合物の転位反応を活用した系統的縮環骨格形成法の開発
Project/Area Number |
10125204
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
上原 忠夫 宇都宮大学, 工学部, 教授 (10004459)
|
Keywords | 転位反応 / 架橋化合物 / 縮環化合物 / 骨格形成 / 天然物 / セスキテルペン / 芳香族化合物 / 置換基効果 |
Research Abstract |
前年度までに、架橋化合物に組み込まれたオキシコープ系の、陰イオン促進転位反応を開発し、[5-5]、[5-6]、[5-8]縮環骨格形成の選択性向上と、転位反応の活性化基で、後の変換が容易なものの開発を進めた。平成10年度には、この手法の実用性を明らかにする目的で、天然物合成への応用を試みた。また、架橋化合物の芳香族オキシコープ転位を検討し、ベンゼン環自体が組み込まれたオキシコープ転位を見出した。 1. (±)-Junicedranolの全合成: Junicedranolは特異な架橋三環性セスキテルペンである。上記の[5-6]縮環骨格形成法を組み込み、この化合物の全合成に成功した。この際、得られた縮環骨格はシクロペンタジエン誘導体であった。この化合物とケテン等価体とのDiels-Alder反応における面選択性と位置選択性は、Junicedranol合成に適したものであった。[1,3]転位反応を活性化し、後にケトンの再生が容易で実用的な基として、4,5-ジメチルチアゾリルを開発した。 2. 架橋系の芳香族オキシコープ転位反応: ベンゼン環自体がオキシコープ転位のπ骨格となっている場合、転位生成物の収率が極めて低い。ナフタレンやフランの例をさして、芳香族オキシコープ転位反応と呼んでいる。しかるに、橋頭位にメトキシ基をもつ2-フェニルビシクロ[2.2.2]オクト5-エン-2-オールを水素化カリウムとTHF中で加熱還流すると、オキシコーブ転位が起こり、さらに脱水素された生成物が得られた。クラウンエーテルを添加すると転位は容易に進行した。橋頭位の置換基効果、ベンゼン環上の置換基効果について、合成的な見地からの知見を得た。ナフタレン、フェナントレン、ピレン等も転位反応に使用でき、アルゴン気流下の反応とアルゴンバルーンを用いた反応を使い分けることで、転位生成物と、その脱水素体を作り分けることができた
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] K.Seki,M.Tooya,T.Sato,M.Ueno,T.Uyehara: "Noble Aromatic oxy-Cope Rearrangement. Participation of a Benzene Ring and Intramolecular Potassium-ion Detachment by Methoxyl Groups" Tetrahedron Letters. 39・47. 8673-8676 (1998)
-
[Publications] H.Hashimoto,K.Seki,M.Ueno,T.Sato,T.Uyehara: "Stereoconvergent approach to each of the stereoisomeric hydroxydiquinanes based on the anionic[1,3]rearrangement of bicyclo[3.2.1]oct-6-en-2-ols" Tetrahedron Letters. 40・3. 511-514 (1999)