1998 Fiscal Year Annual Research Report
接触的炭素-炭素結合形成を伴う環状骨格構築法の開発
Project/Area Number |
10125213
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松田 勇 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (80023266)
|
Keywords | シリルホルミル化 / ロジウム錯体 / 1,2-ジメチレンシクロペンタン / 接触的炭素-炭素結合形成 / 炭素環骨格形成 |
Research Abstract |
本研究では遷移金属錯体を触媒とした炭素縮合環形成のための新手法を開発することを目的とした。その実現のためのガイドプリンシプルとして、アルキン類のシリルホルミル化で見出したアセチレン性三重結合に対するsilylrhodationを想定した。本年度はこのsilylrhodationを基軸とした環状骨格形成に焦点を合わせた。即ち、アルキンへのsilylrhodationアルキン挿入、還元脱離の過程が正確に繰り返されれば、遷移金属錯体を触媒としてアルキン2分子から簡便に1,3-ジエン骨格が形成できることになる。そこで、実際にRhCl(PPh_3)_3を触媒として1,6-へプタジインとヒドロシランとの反応を行ったところ、反応剤の添加方法に工夫を凝らすことで1,2-ジメチレンシク口ペンタン骨格を選択的に組み立てることができた。この反応ではRhCl(PPh_3)_3に対してあらかじめR_3SiHを酸化的付加させて調製した錯体を触媒として用いると、検討したすべての1,6-ジイン類に対して、良好な収率で目的の環形成が進行することも明らかにした。 更に、このタイプの環化反応のスコープを拡げるため、1,6-エンインを出発基質としてR_3SiHと反応させる際、RhCl(PPh_3)_3を触媒としたときには環化は全く進行しなかったが、Rh_4(CO)_<12>を使用すると、選択的に1-シリルメチレン-2-メチルシクロペンタン骨格形成が可能になった。また、同一の出発基質を用いても、一酸化炭素加圧下で反応させると、閉環を伴ったシリルホルミル化によって1-シリルメチレン-2-ホルミルメチルシクロペンタン骨格も選択的に合成できることを明らかにした。以上のように、本研究ではアセチレン性三重結合を利用した炭素-炭素結合形成における新規概念の掘り起こしに成功した。
|
-
[Publications] Takako Muraoka: "Rhodium-Mediated Silylative Cyclization of 1,6-Heptadiynes" Tetrahedron Letters. 39巻40号. 7325-7328 (1998)
-
[Publications] Isamu Matsuda: "Rhodium-catalyzed Transformation of Propargyl Alcohol Derivatives to 2-Silylmethyl-2-alkenals" J.Organomet.Chem.574巻1号. 133-141 (1999)