1998 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ環分子設計のための新規1,3-双極子発生法の開発
Project/Area Number |
10125221
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小松 満男 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60029197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南方 聖司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90273599)
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Keywords | 1,3-双極子発生法 / ヘテロ環合成 / アゾメチンイリド / チオカルボンルイリド / シクロ付加 / シラカルボニルイリド / 転位反応 |
Research Abstract |
前年度までに得た知見に基づき、14族典型金属基の転位を利用する1,3-双極子発生をさらに展開するとともに、シラカルボニルイリド発生などを含む新規1,3-双極子発生法を開発した. 1. α-シリルアミドが転位する際に芳香族化を駆動力にすることにより、通常は発生困難なα-位に安定化置換基をもたないアゾメチンイリドの発生に成功した。この際に発生する1,3-双極子はピリジニウムイリド型であるため、ヘテロ多環骨格が効率よく合成できた。 2. α-チオアミドからのアゾメチンイリドの発生の方がシリルアミドよりも容易で、α-炭素上に安定化置換基をもたない場合にも1,3-双極子が発生し、効率よくヘテロ環が合成できた。この効果を分子軌道計算により解明した。さらに、α-スタニルチオアミドではスズがより温和な条件で転位することを見出し、基質のより広範な拡張の可能性を明らかにした。 3. α-シリルイミダートをトリフルオロシランで処理することにより、室温という温和な条件でアゾメチンイリドを発生させることに成功した。さらに、α-シリルアミドからin situでイミダートとし、フルオロシランを作用させone-potで一挙に活性種を発生する手法も開発した。 4. α-シリルチオールエステルのケイ素の転位によるチオカルボニルイリドの発生においても、硫黄同族体であるジチオエステルの方が温和な条件で1,3-双極子を与えることを明らかにした。今後、α-スタニルジチオエステルが、さらに効率的な前駆体となることが期待される。 5. シリレンを脂肪族アルデヒドで捕捉することにより、シラジオキソラン環が生成することを見出した。この化合物はシリレンとアルデヒドの1:2付加体であり、中間体としてシラカルボニルイリドが発生していることが明らかになった。
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[Publications] M.Komatsu: "Nitrogen Atom Transfer to Alkenes Utilizing Chloramine-T as a Nitrogen Source" Tetrahedron Lett.39・3/4. 309-312 (1998)
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[Publications] M.Komatsu: "Yb(OTT)_3-Catalyzed 1,3-Dipolar Cyeloaddition of Nitrone with Alkene ; Switch in Diastereoselectivity by Solvent and Bibentate Auxiliary" Tetrahedron Lett.39・29. 5205-5208 (1998)
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[Publications] M.Komatsu: "Novel Asymmetric and Stereospecific Aziridination of Alkenes with a Chiral Nitridomanganese Complex" Angew.Chem.Int.Ed.Engl.37・24. 3392-3394 (1998)
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[Publications] M.Komatsu: "Novel Synthesis of Diazetidine-2,4-Dione by Ring Expansion of Diaziridinone" Heterocycles. 50・1. 67-70 (1999)