1998 Fiscal Year Annual Research Report
導電性高分子-イオウ系金属錯体の組織体化によるエネルギー貯蔵機能の発現
Project/Area Number |
10126212
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
小山 昇 東京農工大学, 工学部, 教授 (40134845)
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Keywords | 導電性高分子 / 硫黄化合物 / 金属錯体 / エネルギー貯蔵 / 二次電池 / 銅イオン / 複合材料 / 構造規制 |
Research Abstract |
本研究では、次世代高性能二次電池用の新しい電極材料の開発に関して、導電性高分子と有機イオウ化合物からなる複合材料の組織化、金属イオンと有機イオウ化合物および金属イオンと導電性高分子との複合化・組織化、さらに、それらの複合材料と集電体との界面構造の制御を行った。そして、これらの新しい複合材料の作製、組織化を通じて、貯蔵エネルギーの高密度化、充放電速度の高速化、電圧特性およびサイクル特性の向上等を検討した。 2, 5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール(DMcT)とポリアニリンからなる複合正極材料を銅基板表面に被覆した場合、銅基板の酸化・溶解反応が起こり、正極/銅基板界面において、1価の銅イオンとDMcTからなる厚さ10nm程度の錯体層が形成されることが、水晶振動子マイクロバランス法、レーザー干渉顕微鏡、X線光電子分光法により明らかにされた。 次に、DMcTと銅イオンからなる錯体を化学的または電気化学的に合成し、ラマン分光法、元素分析およびサイクリックボルタンメトリーなどを用いて、錯体の電気化学的特性について評価を行った。その結果、DMcT-Cu錯体がDMcTの酸化還元反応に対して触媒作用を有していることが見いだされた。さらに、X線光電子分光法を用いて、錯体中の銅イオンの酸化状態の電位依存性を調べた結果、錯体の酸化により生成した2価の銅イオンがDMcTの酸化反応を促進化していることがわかった。 以上の結果より、本研究において、錯体形成による銅イオンと有機イオウ化合物の複合化が、安定な界面構造の形成および複合膜中の電子移動反応の促進化をもたらし、その結果、複合正極材料の充放電特性の向上がもたらされることが明らかにされた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Quijin Chi: "Electrochemical Behavior and Surface Morphologic Changes of Copper Substrates in the Presence of 2,5-Dimercapto-1,3,4-thiadiazole Elucidated by In Situ EQCM and Phase Measurement Interferometric Microscopy" Journal of the Electrochemical Society. 145・7. 2369-2377 (1998)
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[Publications] Futoshi Matsumoto: "Studies on the Adsorption Behavior of 2,5-Dimercapto-1,3,4-thiadiazole and 2-Mercapto-5-methyl-1,3,4-thiadiazole at Au and Cu Electrode Surfaces" Langmuir. 15・3. 857-865 (1999)
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[Publications] Futoshi Matsumoto: "STM and QCM Studies on the Adsorption Behaviors of 2,5-Dimercapto-1,3,4-thiadiazole and 2-Mercapto-5-methyl-1,3,4-thiadiazole at Au Electrode Surface" Journal of Electroanalytical Chemistry. (in press). (1999)
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[Publications] 小山 昇: "高密度リチウム二次電池-その反応、材料と技術開発 第4章5節 有機イオウ系化合物" テクノシステム, 8 (1998)
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[Publications] 小山 昇: "ポリマーバッテリーの最新技術 第3章2節 ポリマー正極材料(有機硫黄系化合物)" シーエムシー, 12 (1998)