1998 Fiscal Year Annual Research Report
二核鉄および銅タンパクによる酸素活性化の精密モデル錯体の開発
Project/Area Number |
10129207
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鈴木 正樹 金沢大学, 理学部, 教授 (20091390)
|
Keywords | Bis(μ-oxo)Cu_2(III)錯体 / 酸素の活性化 / 酸化反応 / 水酸化 / 二核鉄酸素錯体 / 結晶構造 / 酸素親和性 |
Research Abstract |
二核鉄及び銅酸素(μ-パーオキソ)錯体は、酸素運搬体であるヘムエリトリンやヘモシアニンの機能モデルとして、また酸素化触媒であるメタンモノオキシゲナーゼ(MMO:鉄および銅錯体)などの酸素活性化機構を理解するうえで重要である。本研究ではこれら二核金属タンパクの精密機能モデル錯体の構築により、二核金属錯体による可逆的酸素化、酸素親和性および酸素活性化の制御機構の解明を目的とし、下記の成果が得られた。 銅錯体:三脚型四座配位子(L)を含む銅(I)錯体([Cu(L)]^+)と酸素との反応により、高原子価bis(μ-oxo)Cu_2(III,III)錯体を合成・単離し、その結晶構造に成功した。このbis(μ-oxo)Cu_2(III,III)錯体は、配位子の水酸化を経て酸化的N-脱アルキル化をすることを明らかにした。またトリフェニルフォスフィン(TPP)との反応で、酸素-酸素結合を生成して酸素分子を再生するというめずらしい反応性をも見出した。さらに三座配位子を含む銅(I)錯体([Cu(L)]^+)と酸素との反応では、μ-η^2;η^2-peroxo種の存在が確認され、上記高原子価bis(μ-oxo)錯体と同様、メチル基やベンゼン環の水酸化・酸化することがわかった。 鉄錯体:一連の二核鉄およびコバルト二価錯体の酸素親和性を測定し、酸素化反応の熱力学的パラメータを求めた。その結果酸素親和性の制御は、熱力学的にはエントロピー効果が重要な役割を果たしていることを見出し、二核化配位子の立体化学によって、エントロピー効果をかなりの程度制御できることがわかった。また酸素分子の活性化では、MMOの反応中間体モデルとして提案されている(μ-hydroxo)(μ-peroxo)および(μ-oxo)(μ-peroxo)Fe_2(III,III)錯体の合成および構造解析に世界で初めて成功した。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] H.Sugimoto,M.Suzuki,etc.: "Thermodynamic Study on Dioxygen Binding of Diiron(II) and Dicobalt(II) Complexes Containing Various Dinucleating Ligands." Bulletin of The Chemical Society of Japan. 71. 2267-2279 (1998)
-
[Publications] H.Furutachi,M.Suzuki,etc.: "Reversible Oxygenation of a μ-Acetato-di(μ-phenoxo)dicobalt(II)Core Complex and Crystal Structure of Its Oxygenated Complexes" Chemistry Letters. 779-780 (1998)
-
[Publications] M.Suzuki: "Reactivity of Diiron(II) Complexes with Molecular Oxygen." Pure and Applied Chemistry. 70. 955-960 (1998)
-
[Publications] M.Suzuki,et al: "Synthesis and Characterization of Mixed Valence μ-Alkoxo-diiron(II,III)Complexes with an Unsymmetric Dinucleating Ligand." Inorganica Chimica Acta. 238. 124-135 (1998)