1998 Fiscal Year Annual Research Report
スピン偏極分光及び磁気二色性を用いた磁性超薄膜及び超格子の電子状態の研究
Project/Area Number |
10130218
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今田 真 大阪大学, 基礎工学研究科, 講師 (90240837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関山 明 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手 (40294160)
菅 滋正 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (40107438)
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Keywords | 磁性薄膜 / 磁気二色性 |
Research Abstract |
SPring-8の円偏光軟X線ビームラインBL25SUに光電子顕微鏡(PEEM)を設置し、磁性薄膜や多層膜をはじめとした微小磁性構造の研究を行った。このビームラインでは、遷移金属の2p内殻吸収領域を含む500-1500eVの範囲で高エネルギー分解能かつ高強度の円偏光を利用することができる。磁化した試料の内殻光吸収スペクトルを円偏光を使って測定すると、円偏光のスピンと磁化が平行なときと反平行なときでスペクトルが異なる。これは、円偏光励起の選択則と励起する内殻軌道のスピン軌道相互作用によって、スピンおよび軌道角運動量選択的に内殻電子が励起されるためである。例えば、遷移金属の2p3/2領域の光を試料に表面すれすれ入射させると、磁化の光スピン方向成分が正か負かによって光吸収強度の大小が決まる。これをPEEMでみると、磁化方向の光スピン成分が像の濃淡として現れることになる。 まず、あらかじめSi基板上に電子ビームリソグラフィ法で作成した磁性体薄膜パターンの磁区構造を観察した。形状と大きさの変化に伴い、磁区構造が質的に変化する様子が観察された。磁性体微細構造からの漏洩磁束と構造内部の磁区構造によるエネルギーのバランスでこれが説明できると考え、解析を行っている。 次に、料準備槽においてin situで単結晶基板上に磁性体超薄膜をエピタキシャル成長させ、超格子構造を作成した。これを超高真空中を測定槽に移送して磁区構造を測定した。さらに、光エネルギーを変化させながらPEEM像を測定することで、磁気円二色性顕微分光を行った。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] S.Imada: "MCD in 2p and 3p XAS of Mu-Zn ferrite" J.Electron Spectrosc. Ralat. Phenom.88-91. 195-199 (1998)
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[Publications] S.Suga: "Magnetic dichroism in core absorption and photoemission" J.Electron Spectrosc. Relat.Phenom.92. 1-9 (1998)