1998 Fiscal Year Annual Research Report
トンネル発光スペクトルの空間分布測定による電極反応表面の電子移動の研究
Project/Area Number |
10131255
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
西谷 龍介 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (50167566)
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Keywords | STM / トンネル発光 / 固体液体界面 / 局所物性 / 微粒子 / 表面プラズモン / ナノスケール / 電気化学 |
Research Abstract |
電極反応制御下のSTMにおけるトンネル発光スペクトルおよびトンネル発光の2次元像測定方法を確立することを目的として、トンネル発光の観測、トンネル発光スペクトルの測定を実現することを中心に実験を行い、特定の液体中でこれらの測定が可能となった。 液体中界面からのトンネル発光の集光は、光ファイバーを液体中のSTM探針近傍に置くことにより行った。トンネル発光スペクトルの測定には、スペクトルグラフとCCDを結合した光学系を用いた。発光スペクトルの測定とSTM像の測定は同時に行い、一つのSTM像に対して1024のスペクトルを測定している。試料には金薄膜を用いた。 金属のトンネル発光を起こすためには2V以上の探針試料間バイアス電圧を印加する必要があるので、出来るだけ溶媒反応の起こらない電位範囲の広い有機溶媒を用いた。これまで、5種類の有機溶媒、1,4ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、プロピレンカーボネイト、N,N-ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルフォキシド、に対して実験を行ったが、現在の段階で、トンネル発光は、1,4ジオキサン溶媒に対してのみ測定できた。液体中での発光スペクトルは空気中のそれに較べて長波長側にシフトしていることが観測された。トンネル発光スペクトルに対するトンネル・ギャップの媒質依存性を検討するために、トンネル・ギャップ媒質の誘電率を変えてトンネル発光スペクトルを計算した。有電率が1より大きくなるとスペクトルは長波長側へシフトすることが示された。スペクトル計算の結果、誘電率が大きくなるとスペクトルは長波長側にシフトするのは、励起される局所プラズモンのエネルギーが減少することを意味し、誘電率の大きい媒質中の場合、現在の検出系より長波長に感度のある検出器を用いる必要があると思われる。
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[Publications] R.Nishitani: "A study of metal films using a spectrally resolved photon map obtained by spectrum mapping measurements of STM-induced light" Appl.Phys.A. 66. S139-S143 (1998)
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[Publications] 西谷龍介: "真空中及び液体中のトンネル発光スペクトル空間マッピング" Technical report of IEICE. OME98-82. 77-84 (1998)
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[Publications] R.Nishitani: "STM induced photon emission at liquid-solid inteface" Surface Science. (in press). (1999)