1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10131263
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
伊藤 正時 慶応義塾大学, 理工学部, 教授 (80005438)
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Keywords | 赤外分光 / Pt(111) / UHVモデリング / 電気二重層 / 水(H_2O) / 固液界面 / 電極表面 / トンネル顕微鏡 |
Research Abstract |
固液界面では溶液層の水が実験の妨害となるために、電気化学二重層の分子レベルにおける理解が困難である。本研究では超高真空中で水や電解質分子を単結晶金属表面Pt(111)に吸着させ、電気二重層のモデルを構築した。 吸着水分子の表面拡散を抑制するために20Kで実験をおこなった。昇温脱離の実験から1 bilayer(at 20K)に相当する水分子の吸着量(被覆率)を2/3MLと定義した。 非常にシャープな3つの吸収バンドのうち2716cm-1はOD逆対称伸縮、2582および2571cm-1はOD対称伸縮振動に帰属される。赤外分光における表面選択律、および、金属表面上に水素結合した水クラスター吸着に関するBFP理論(Doering and Madey)から、この結果は次のような可能性を与えている。(1)Pt原子(on-top)にローンペアで吸着した配向姿勢の異なる2種類のモノマー水分子が存在する。一つは分子平面が表面と109度傾き2個の水素原子が表面と等価であるもの、もう一つは2個の水素原子が表面とは非等価でODのひとつが表面に垂直であるもの。(ii)(i)の2種類のモノマーが水素結合して生じたダイマー(2個の水素原子が等価で、ひとつのローンペアが表面垂直に吸着している分子(この分子がRtとdirectに結合している)、とその分子のもう一つのローンペアに別の水分子のODが水素結合している(そしてもう一つのODが表面に垂直にたっている。20Kの極低温でも表面拡散している可能性があり、(i)のモノマー吸着水分子が合体したとも考えられる。 被覆率が大きくなると各バンドがsplittする。20KではLEEDでorderingがまったくみられないことから、この分裂は水分子が3個以上のクラスター(n>3)として存在している。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Y.Shingaya,M.Ito: "Model double layer structures on M(111) in a sulfuric acid solution" Electrochim. Acta.44. 889-895 (1998)
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[Publications] Y.Shingaya,M.Ito: "Coadsorption of ammonia and electrolyte anions on Pt(111) electrode" Surface Science. (in-press). (1999)
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[Publications] K.Momoi,M.Ito: "Redox process of NO into NO_2 on Pt(111) electrode" J.Electroanal.Chem.(in-press). (1999)
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[Publications] M.Nakamura,M.Ito: "Urea adsorption on Au(111) and Au(100) electrodes" Surface Science. (in-press). (1999)
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[Publications] Y.Shingaya,M.Ito: "Comparison of bisulfate anion adsorbed on M(111)(M=Pt,Rh,Cu,Ag)" J.Electroanal.Chem.(in-press). (1999)