1998 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属アート型錯体の特性に基づく新規炭素結合形成反応
Project/Area Number |
10132207
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
北條 信 筑波大学, 化学系, 助教授 (50229150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細見 彰 筑波大学, 化学系, 教授 (00004440)
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Keywords | マンガン / クロム / アート錯体 / チオメチル / アリル / プロパルギル / エノラート |
Research Abstract |
有機金属アート型錯体の反応に関する研究は,殆どアルキル移動型の反応性に基づくものである.しかしながらアルキル化以外に例えば求電子剤に対するアート錯体という電子過剰系による還元反応も期待できる.この過程を遷移金属の酸化・還元的性質を活かした"還元的な直接メタル化反応"として捉えた研究を行い,マンガンおよびクロムアート錯体が還元反応のみを起こし,新たな有機金属反応剤を生成することが明らかとなった.例えばヨードメチルスルフィドと"Bu_3MnLi"の反応ではチオメチルマンガン反応剤が生成する.この反応は-78℃では可逆的な金属-ハロゲン交換反応で進行し,-20℃では基質のアート錯体への非可逆な酸化的付加により進行することが解った.生成するチオメチルマンガン反応剤は種々の添加剤によりその反応性を変えることができる.また,リン酸アリルエステルを1当量のクロムアート錯体"Bu_5CrLi_2"が還元し,対応するアリルクロム反応剤を与えることが明らかになった.本反応を利用すると,合成化学的にはプロパルギルアルコールから誘導可能なリン酸プロパルギルエステルを前駆体とするプロパルギルクロム反応剤の生成および反応が可能になる.また,有機クロアート錯体とα-位に脱離基を有するケトンおよびエステルとの反応を行ったところ,ケトンやエステルのエノラートが効率良く生成することを見つけた.これらのクロム反応剤は種々の求電子剤と効率的に反応し,対応する生成物を与えた. この様に有機遷移金属アート錯体が既知のアルキル化反応剤として働くだけではなく,多くの基質の還元剤として作用する反応もかなり一般性の高い反応であることが明らかになった.今後これらの反応は多様な有機金属反応剤の直接生成法として有機合成に有効に利用できるものと思われる.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Hojo: "Di-functionalization of Alkenes Using an Oxidant Generated from Manganese(II) Chloride under Oxygen:Synthesis of γ-Lactones" Heterocycles. 47・1. 97-100 (1998)
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[Publications] M.Hojo: "Reactivity of Rieke Manganese: Synthesis of Pyrrolidine and Piperidine Derivatives" Heterocycles. 49・1. 85-88 (1998)