1998 Fiscal Year Annual Research Report
14族元素-14族元素二重結合の生成機構とその動的挙動の研究
Project/Area Number |
10133248
|
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
持田 邦夫 学習院大学, 理学部, 教授 (20118772)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲山 英之 学習院大学, 理学部, 助手 (00155889)
横山 保夫 学習院大学, 理学部, 助手 (40265575)
|
Keywords | ゲルマニウム二重結合 / 光反応 / レーザー閃光分解 / 吸収極大 / 化学的捕捉実験 / CIDNP / 1.2-ゲルミル転移 / ラジカル対 |
Research Abstract |
7、8-ジゲルマビシクロ[2.2.2]オクタ-2、5-ジエン誘導体(1)を低圧水銀ランプを用いて室温で30分間光照射をすると、ナフタレン誘導体2(81%)、光異性化生成物3(6%)、およびオリゴゲルマン4(M_w=500-1000)を生じた。オリゴゲルマン4の生成はゲルマニウム-ゲルマニウム二重結合種の発生を意味する。この二重結合種を確認するため、低温でのマトリックス実験、室温でのレーザー閃光分解実験、および化学的な捕捉剤実験を行った。UV吸収の極大値が375-380nmにあることがマトリックス実験とレーザー閃光実験より観測された。 また、シクロヘキサン溶液の化合物1のレーザー閃光分解(λ=266nm)を室温で行うと過渡吸収スペクトルが380nm近辺に観測され、このピークは二次速度で減衰した。380nmに観測された化学種は過剰の酸素、四塩化炭素、エタノール(には非常に速い擬一次速度(10^7-10^8M^<-1>s^<-1>)で捕捉されるのに対し、ブタジエン類(10M^5M^<-1>s^<-1>),アルキン類、14族元素水素化物類(いずれもk>10^5M^<-1>s^<-1>)にはほとんど捕捉されない。 化学的な捕捉実験もマトリックスおよびレーザー閃光実験とあわせて検討した。化合物1をアルコール類共存下で光照射を行うと、アルコキシジゲルマンを、四塩化炭素では、1、2-ジクロロジゲルマンを収率よく生成する(60-70%)。また、ブタジエン類との反応では、対応する1、2-ジゲルマシクロヘキサ-4-エン類を生成した(30%)。しかし、化合物1はアルキン類や14族元素水素化物(ヒドロシラン、ヒドオゲルマンなど)とは反応しない。 また、化合物3はゲルマニウム-炭素結合のラジカル的切断に伴い生じたラジカル対を経由する1、2-ゲルミル移動による異性化生成物と考えられる。 化合物1の光照射の初期過程にラジカル対が存在することはCIDNP実験によっても確認された。
|
-
[Publications] 持田邦夫: "Synthesis and photochemistry of 1.2-Digermacyclohexa-3.5-dienes and Related Compounds" Organometallics. 17. 1782-1789 (1998)
-
[Publications] 持田邦夫: "Photochemical Reactions of Digermanyl-substituted Naphtalenes. The Germyl Migration to the Aromatic Ring" J.Organomet.Chem.553. 163-171 (1998)