1998 Fiscal Year Annual Research Report
チオレドキシン類似インタエレメント酵素群の構造機能相関と分子進化
Project/Area Number |
10133250
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
井上 英史 東京薬科大学, 生命科学部, 助教授 (20184765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 正樹 東京薬科大学, 生命科学部, 助手 (90277252)
高橋 健治 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (70011533)
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Keywords | チオレドキシン / グルタチオン / グルタチオントランスフェラーゼ / 触媒機構 / 静電ポテンシャル / 分子動力学 |
Research Abstract |
グルタチオントランスフェラーゼの触媒部位の静電ポテンシャルに影響する遠位アミノ酸残基: 部位特異的変異体の触媒活性と,分子動力学計算によるシミュレーション グルタチオントランスフェラーゼ(GST)の反応過程にはGSHチオール基のプロトンの解離が必須であり,α,μ,π,σクラスGSTでは,チロシンの側鎖水酸基が水素結合することがGSHチオール基のpKaの低下に関与している.しかし,これ以外の要因として,触媒残基とは直接相互作用できない遠い位置にあるアミノ酸残基が寄与していることが部位特異的変異を用いた実験から示唆された.すなわち,ヒトGSTP1-1のGln64,Arg70,Arg74をそれぞれAla,Thr,Thrに置換すると,いずれの場合も速度論的に推定されるGSHチオール基のpK_aは,大きくアルカリ側にシフトした.これらのアミノ酸残基は活性中心より離れた位置にあり,GSHチオールと直接相互作用することはない.そこで,この原因を検討するために,これらの変異体の立体構造を計算機シミュレーションによりモデリングした.モデリングにはTripos社のSybylを用いた.その結果,タンパク質全体及び触媒部位の立体構造に顕著な変化は見られなかった.しかし,これらの変異が触媒部位の静電ポテンシャルに与える影響を計算したところ,Gln64→Ala及びArg74-Thrの変異は大きな影響を与えなかったが,Arg70→Thrの変異は静電ポテンシャルを変化させ,GSHチオール基のpKaを約1pK_aユニッ卜上昇させることが示された.この結果は,速度論的に求めた実験値に近い.Arg70の側鎖グアニジウム基はGSTPl-1の活性中心から約18Å離れているが,その電荷が触媒部位の静電ポテンシャルに大きな影響を及ぼしていると考えられる.
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Research Products
(1 results)