1998 Fiscal Year Annual Research Report
セレンを含むインターエレメント化合物の特性を利用した不安定化学種生成に関する研究
Project/Area Number |
10133253
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
西山 豊 関西大学, 工学部, 助教授 (30180665)
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Keywords | セレン / アルキル化 / レジオ選択的 / 1,2,3-セレナジアゾール / ビニルラジカル |
Research Abstract |
不安定化学種は、有機合成化学における有用な合成手法を与える反応種として多くの研究がなされている。しかし不安定化学種の発生法が極めて限定され、さらにその高い反応性のため反応の制御が困難である場合も多く、効率良く有機合成に利用した例は比較的限られている。本研究では、インターエレメント化合物の化学的特性を追及し、セレンを含むインターエレメント化合物の特性を活用した、不安定化学種の効率的発生法の開発ならびに、発生させた不安定化学種をkey speciesとする新規合成反応の開拓を目的とし検討した。その結果、エナールアセタールとジイソブチルアルミニウムフェニルセレノラートの反応により簡便かつ効率良く合成可能となった1-アルコキシ-3-フェニルセレノ-1-アルケンの脱プロトン化、続くアルキルハライド、カルボニル化合物を用いたアルキル化反応を行ったところ、完全なレジオ選択性でアルキル化反応が進行することを見い出した。また1-アルコキシ-3-フェニルセレノ-1-アルケンは、塩酸等のプロトン酸で扱うことで、β-フェニルセレノアルデヒドへ、過酸化水素水で酸化することでα,β-不飽和アルデヒドへ変換が可能である。また1,2,3-セレナジアゾールをα,β-不飽和カルボニル化合物共存下熱分解反応を行ったところ、1,2,3-セレナジアゾールのセレンα,β-不飽和カルボニル化合物に付加することで生成したと考えられるジヒドロセレノフェンが収率良く得られたことも合わせて見い出した。この結果は、1,2,3-セレナジアゾールの熱分解反応が不安定化学種であるビニルラジカルの新規発生法として利用可能であることを示している。
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[Publications] Yutaka Nishiyama: "Selective Synthesis of 1-Alkoxy-3-phenylseleno-1-alkenes and 3-phenylselenoalkanals by the Reaction of Diisobutylaluminum Phenylselenolate with α_1β-Unsatarated Acetals" Tetrahedron Letters. 39. 8685-8686 (1998)
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[Publications] Yutaka Nishiyama: "Regioselective Alkylation of 1-Alkoxy-3-phenylseleno-1-alkenes" SYNLETT. (印刷中).