1998 Fiscal Year Annual Research Report
ニアフィールド光による2次元高分子鎖の形態と光プロセスの研究
Project/Area Number |
10135216
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 紳三郎 京都大学, 工学研究科, 助教授 (50127049)
|
Keywords | 近接場光学 / 顕微鏡 / 単分子膜 / 光プロセス / 単一分子 / 高分子 / 蛍光分光法 |
Research Abstract |
本研究では、2次元平面内に束縛された高分子単分子膜に対して、蛍光観測モードで動作する走査ニアフィールド光顕微鏡(蛍光SNOM)を適用し、単分子膜内での高分子鎖の形態や光プロセスを明らかにする目的で研究を行った。 1) 蛍光SNOMの整備 蛍光観測のできるSNOMとして動作させるため、装置の様々な改良や光ファイバープローブの作製を行った。その結果、装置の性能として325nm紫外線励起ができ、かつ100nmの空間分解能があることが、ラテックスをはじめとする様々なモデル試料により確認された。 2) 光機能色素が一次元配列された単分子膜形成能をもつポリペプチドの合成と累積膜の作製 剛直鎖高分子であるポリグルタメートを試料として、光機能基によるラベル化を行い、それらの基板上への累積配向性や分子鎖の凝集形態を調べた。これらの高分子は高配向かつ良好な累積性を与えることが認められた。この結果をもとに、ポリグルタメートにSNOMに適した波長特性をもつ色素ラベルを行った。 3) 2次元単分子膜内での単一高分子鎖の広がりの評価 SNOMによる蛍光観測により単一高分子鎖の広がりを評価することをめざしたが、現状では検出感度が不足しており、この目標に関しては所期の成果を上げられていない。 4) 混合単分子膜における相分離構造の観測 単分子膜形成能をもつ2種類の高分子を混合し、水面上での2次元相分離形態をSNOMにより観測した。蛍光ラベルを施した各成分の分離状態が子分な空間分解能で観測され、かつ両者の境界におけるエネルギー移動を選択的に観測することができた。これらの結果により、膜構造研究における蛍光SNOMの有用性を示すことができた。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Michiaki Mabuchi: "Preparation and Characterization of the Langmuir-Blodgett Films Made of Hairy-Rod Polyglutamates Bearing Various Chromophores…" Langmuir. 14.25. 7260-7266 (1998)
-
[Publications] Michiaki Mabuchi: "Nanostructure and Thermal Stability of the Polyglutamate Langmuir-Blodgett Films Probed by Interlayer Energy Transfer" Macromolecules. 31.25. 8802-8808 (1998)
-
[Publications] Nobuhiro Sato: "Energy Transfer Study of Polymer Chain Morphology in a Two-Dimensional Monolayer" Polymer Journal. (in press).