1998 Fiscal Year Annual Research Report
色素分子会合体のメゾスコピック構造と励起エネルギー移動ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
10135226
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
玉井 尚登 関西学院大学, 理学部, 助教授 (60163664)
|
Keywords | ポルフィリン / J-会合体 / 走査型近接場光学顕微鏡 / 時間分解蛍光分光 |
Research Abstract |
水溶性ポルフィリン(TPPS)を用い,種々の会合体を条件を変えて形成させると共に,そのガラス基板上でのメゾスコピック構造をSNOMで研究した.溶液中ではTPPSのJ-会合体は特有の非常に線幅の狭い鋭いソーレー帯の吸収を490nmに示す.このTPPSのモノマーとJ-会合体について蛍光スペクトルを測定したところ,モノマーのS_2蛍光が450nm,S_1蛍光が660nmに見られ,J-会合体においてはS_2状態の蛍光が500nmに観測された.S_2蛍光の量子収量は10^<-4>〜10^<-5>であり,発光寿命は1ps以下であった.J-会合体のS_1蛍光寿命は約50psと求まった. J-会合体のトポ像とSNOM像を比較検討すると共に,蛍光像および時間分解蛍光の測定を試みた.まずTPPS水溶液のスピンコートによって作成したフィルムのトポ像とSNOM像を解析すると,像中には細長い微結晶状の構造が見られた.さらに小さな2本の細長い構造が対になった染色体状の構造も多数観測された.光源に488nm光を用いた透過像では,J-会合体の吸収に由来する像が観測された.この表面構造の解析を行ったところ,染色体状の構造は,高さ約20nm,長さ数μm,幅0.2から0.5μm程度であった.またこの構造は一様に同じ方向を向いていた.これは,薄膜調製法にスピンコート法を用いているためではないかと考えられる.pH4程度の溶液中でJ-会合体を形成しない条件でもフィルム中でJ-会合体の構造が透過像により観測されたが,J-会合体の溶液から作成したフィルムとモノマーの溶液から作成したフィルムでは構造に差が見られた.
|
Research Products
(1 results)