1998 Fiscal Year Annual Research Report
複合LB膜の制御された熱分解によるカーボン傾斜薄膜の構造と機能
Project/Area Number |
10137206
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
鈴木 昇 宇都宮大学, 工学部, 助教授 (40134259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 貞二 宇都宮大学, 工学部, 教授 (60008068)
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Keywords | カーボンアロイ / 炭素超薄膜 / 炭素化 / ポリイミド / ポリアミック酸 / 複合LB膜 / X線光電子分光 / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
分子レベルで層数制御を行うことの出来るLangmuir-Blodgett(LB)法を利用すれば有機超薄膜を基板上に累積できる。そこで,膜物質とその熱分解過程を適切に制御すれば,炭素超薄膜の創製が可能であり,また,単分子膜(有機超薄膜物質)の構造を変化させて累積した膜(複合LB膜)からは,傾斜構造を有する機能性炭素材料の開発も可能と考えられる。本研究では,LB膜からの炭素超薄膜調製方法を確立し,かつ生成炭素膜を詳細に評価すること,さらに複合LB膜からの炭素化過程を検討することを目的とした。 カプトンH型のポリイミド前駆体であるポリアミック酸の溶液に,N,N-ジメチルオクタデシルアミンを添加することで両親媒性物質である長鎖アルキルアンモニウム塩(PAO)を調製した。このPAO溶液を超純水上に展開し、累積時の条件を種々検討することで,垂直浸積法により51層のY膜を累積できた。この試料をアルゴン中で熱処理した結果,熱処理方法を工夫することで1000℃での炭素化が可能であり,約4nmの膜厚を有する炭素超薄膜を得ることができた。また,その表面は熱処理温度の上昇と共に平滑化することが明らかとなった。 次に,ステアリン酸ニッケル(SN)とPAOの複合LB膜について検討した。SN(51層)+PAO(50層)+SN(50層)の三層構造を有する試料を真空下360℃で熱処理した膜は,累積時の構造を反映しており,かつステアリン酸ニッケル層は金属状ニッケル層に変化することが判明した。さらに,バルクシリコン相までニッケル原子が拡散している可能性も示された。また,種々の複合LB膜を炭素化した試料の評価より,その構造が累積時の構造と組成に依存することが分った。
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Research Products
(1 results)