1998 Fiscal Year Annual Research Report
炭素材料の不均一度測定法の確立と材料機能性との相関に関する研究
Project/Area Number |
10137209
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
西川 恵子 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (60080470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西澤 節 (株)神戸製鋼所, 化学環境研究所, 主任研究員
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Keywords | ガラス状炭素 / 石炭 / フラクタル / 細孔 / 小角X線散乱 / 不均一度 / フェノール樹旨 / フラン樹旨 |
Research Abstract |
様々な炭素材料を炭素部分と孔(pore)との二元系ととらえ、炭素材料の炭素の構造とporeの分布状態を調べるのには、小角X線散乱法が最も適していることを我々は示してきた。以下の3つの成果を得た。 1) 小角X線散乱装置の立ち上げ 高エネルギー加速器研究機構(KEK)の放射光実験施設(PF)では、実験室レベルのX線よりはるかに強いX線が得られ、小角X線散乱実験もそこでできる。しかし、共同利用施設であるための様々な制約があった。炭素材料に小角X線散乱を利用するためには、様々な条件の試料を作り、系統的にデータを収集する必要があり、実験室レベルでの装置の立ち上げが急務であった。装置を設計・製作してきたが、今年度完成した。散乱強度はPFに比べ弱いものの分解能および測定範囲は本装置のほうが優れていることが明らかになった。特に空気からの散乱を除去したため質の良いデータが得られた。また、有効な散乱強度を得るための測定時間は、一試料あたり30〜60である。 2) 出発物質の違いによるガラス状炭素の構造の違い フラン樹脂を出発物質として焼成したガラス状炭素の構造について、フェノール樹脂を出発物質としたものと比較した。炭素6員環では、グラファイド的な平面構造をとり易いが、出発物質に5員環が含まれている場合には曲面形成が考えられ、フラーレンやカーボンナノチューブとの関わりの点からも、興味深い。焼成温度1200〜1400℃の試料について出発物質の相違による構造の違いがみられた。さらに高温の黒鉛化過程におい゙ては、出発物質の相違による構造の違いは存在しない。フラン樹脂からのガラス状炭素においては、1000〜1400°C付近で五員環の折れまがり、あるいは六員環化が起こっていると思われる。 3) 石炭のフラクタル構造 非微粘結炭であるウイットバンク炭を試料として、小角X線散乱実験を行った。試料を様々な温度で熱処理し気孔構造の変化を表面フラクタル次元の変化としてとらえた。その結果、軟化温度(660K)以前に、化学変化を伴わない構造緩和を観測した。熱測定で、他の研究者から構造緩和は示唆されていたが、直接構造の立場からの報告は本研究が始めてである。石炭は炭素を上体とした混合物で、その研究を"科学"とするのには、多くの困難があるが、小角X線散乱から求まるフラクタル次元は石炭の構造やその変化を議論する良いパラメータとなる可能性がある。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 福山勝也: "ガラス状炭素の小角X線散乱強度と黒鉛化挙動" 炭素. No.182. 85-90 (1998)
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[Publications] K.Nishikawa: "Structure Change of Glass-like Carbon with Heat Treatment,Studied by Small-Angle X-ray Scattering I-Glass-like Carbon Prepaud from Phenolic Resin-" Jpn.J.Cppl.Phys.37,No.12A. 6486-6491 (1998)
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[Publications] T.Nakagawa: "Change of Surface Fractal Dimension for Witbank Cool with Heat Treatment Studied by Small-Angle X-ray Scattering" Carbon. (accepted). (1999)