1998 Fiscal Year Annual Research Report
カーボン60・カーボンナノチューブによるナノ複合強化炭素材料の作製
Project/Area Number |
10137212
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 邦夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20010803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮澤 薫一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (60182010)
市野瀬 英喜 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (30159842)
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Keywords | カーボン60 / カーボンナノチューブ / 複合材料 |
Research Abstract |
本研究はこれまでせいぜいミクロン程度にとどまっていた炭素系複合材料の作製をナノメートルレベルで制御し,粒界・界面の比率を飛躍的に高め,その性能を強調することで塑性変形能の発現など新しいタイプの複合材料創製を狙いとする.本研究ではこれを達成させるためカーボン60とカーボンナノチューブ等の炭素系新物質を利用することを特徴としている.本年度はマトリックスの相変態を積極的に利用した複合材料作製を試みた.特に,高温・高圧による複合体作製を試み,高圧変態相の生成機構,微細組織の直接観察及び力学的性質について検討した.ベルト型超高圧圧縮(5.5GPa,800℃,1h)で作製した複合体のマトリックス部はX線回折により,格子定数1.32nmのfcc相として指数付けすることができた.しかし,マトリックスは均一な組織ではなく,一部に格子定数0.97nm,α=56.3°のrhombohedral相が混在した組織であることが判明した.高圧変態相の構造は温度・圧力以外に試料内部の応力成分の不均一性によって影響を受けている可能性が示唆された.複合組織のTEM観察では一部のナノチューブに円筒の一部が圧縮応力を受け局所的につぶれた組織が観察された.しかし,C60の相変態に相当するような組織的変化は観察されず,ナノチューブの構造変化を伴わずにC60マトリックスを重合させた試料が作製可能であった.ナノチューブ/C60重合組織に形成される界面の存在を考えると系に含まれるナノ空間は飛躍的に増大している可能性がある.この制御された空間を利用してこの複合系を材料として応用できる可能性がある.
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