1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10137219
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
斎藤 秀俊 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (80250984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塩 茂夫 長岡技術科学大学, 工学部, 教務職員 (90160473)
伊藤 治彦 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (70201928)
八井 浄 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (80029454)
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Keywords | 静電加速器 / 窒素含有炭素 / Heイオン / イオン照射 / 硬質膜 / 硬さ / 赤外吸収 / 水素 |
Research Abstract |
窒素含有によって膜の原子間結合が強固になり膜の弾性率が大きくなるとの予想のもとに、窒素含有炭素膜の微細構造を求め、機械特性との比較を行ってきた。これまでの結果から予測できたことは、窒素含有により形成された=CH_2,-CH_3,=NH,-NH_2などの終端構造が硬さ値を下げることである。つまり、この終端構造を除去しない限り窒素含有炭素が真に高い弾性率を持つのか判断できない。そこで今年度の研究では、この終端構造の除去により膜が硬質化するのか確認を行った。具体的には、結合終端に関与している水素を取り除き、終端の結合回復を促進する。 本研究では、水素除去を行うためにイオン照射法を採用した。イオン照射法のもつチャネリング現象を利用し膜の内部の水素を狙い、またはじき出し現象で水素のみを除去する。具体的には軽イオンであるHe^+イオンをイオン種として選択した。He^+イオンは本学極限エネルギー施設のタンデム型静電加速器を用いて加速され、あらかじめ作製した窒素含有炭素膜に照射される。照射前後の膜の分光学的解析結果ならびに機械特性を評価した。 He^+イオンの照射個所の超微小押込み硬さ値を得た結果、イオンビーム照射前では、膜の押込み硬さ値は1.6GPaであったのに対し、60分間のイオンビーム照射後には硬さ値は5.2GPaに達した。またイオンビーム照射時間とともにCH_2およびCH_3の結合数の減少と硬さ値の増加に相関関係があることがわかった。すなわち、He^+イオンビーム照射により水素脱離が生じ、それにより形成された複数のダングリングボンドが新たなネットワーク結合形成を起こすのである。
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