1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10138102
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
竹内 淳 早稲田大学, 理工学部, 助教授 (80298140)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 俊一 北海道大学, 工学研究科, 教授 (00114900)
|
Keywords | スピン緩和 / 量子井戸 / 量子ドット / スピン / Elliott-Yafet / 磁性半導体 |
Research Abstract |
過渡的磁性半導体のスピン物性解明のために、量子井戸内のスピン緩和機構と量子ドット間の交換相互作用の検討を行った。まず、量子井戸内のスピン緩和機構として、Elliott-Yafet効果のスピン緩和時間を理論的に求め、スピン緩和時間が量子化エネルギーに反比例することを明らかにした。これは、さきに実験的に求めたInGaAs/InP量子井戸のスピン緩和時間の量子化エネルギー依存性と同じ依存性であり、E-Y効果が支配的なスピン緩和機構であることを示唆している。InGaAs/InP量子井戸で量子化エネルギーによってスピン緩和時間が制御できることを明らかにしたことにより、光通信に対応する波長1.55ミクロンで、スピンをデバイス応用しうる可能性に大きく道を開いた。また、量子ドット間の交換相互作用の検討では、ハイトラー・ロンドン近似を用いて交換相互作用を計算した。現在、量子ドットをメモリーやコンピューティングに応用する提案がなされているが、とくにドット中に生成されたキャリアのスピンが近接するドットのキャリアスピンと持つどのような相互作用を持つかは、今後、量子ドットのスピンをデバイス応用する際の最重要ファクターの一つになる。このため、今回は、一対の近接した量子ドット(結合量子ドット)に光励起された電子の交換相互作用エネルギーを計算し、さらにドットを立方晶に配置した場合のネール温度を求めた。その結果、結合量子ドットが反強磁性になること、また準現実的なドット構造ではそのネール温度が150Kに達することを明らかにした。
|
Research Products
(1 results)