1998 Fiscal Year Annual Research Report
イカの生産から消費に至る物質フローの解析とゼロエミッション化
Project/Area Number |
10141203
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三浦 汀介 北海道大学, 水産学部, 教授 (60002094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤森 康澄 北海道大学, 水産学部, 助手 (40261341)
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Keywords | イカゴロ / ゼロエミッション / 動脈・静脈産業 / 物質フローモデル / 水産加工業 / イカ墨 / 海洋関連産業クラスター |
Research Abstract |
イカ残滓の有効利用技術の現状 我々の研究グループが行っているイカゴロを釣の人工餌料として活用する試みもその一つである。鹿児島大学水産学部との協力で、キンメダイやメヌケなどを対象に近海・沿岸漁業での応用可能性について調査を始めた。また、北海道大学水産学部では、ハワイ沖漁場でマグロの延縄の試験操業を行い、代替飼料としての可能性を調査した。遠洋漁業の代表とも言えるマグロ延縄漁業は、年間、6万トンほどの天然餌料(イカ、サンマなど)を消費している。一方、遊魚の餌としての利用も始まった。これらの利用方法が確立すれば、道南のイカゴロ問題解決策の重要な決め手となる。青森では、以前からイカ墨の抗腫瘍性の研究が進み、イカ墨利用の各種食品の開発が進んだ。また、イカの皮から染色材を抽出する研究も進行中である。北大工学部では、イカの骨からとったキチンを利用して人工皮膚の研究も進んでいる。 現在進行中の企業化プラン(イカ墨染めの特産品化) イカゴロから釣餌を造る過程で廃棄されるイカ墨を利用して、特産品(アート・工芸品)の開発を試みる計画である。釣餌を製造する株式会社コーノがその生産過程でイカ墨を排出する。これを使って蕃伎社を支援して最終的に函館市の特産品化を目指すものである。 今後の計画 函館市商工観光部の呼びかけでイカの加工から消費にいたる過程で関わる地域の関係者を集め、現状の課題や今後の産業起こしを目指して、相互に情報・意見の交換を行うことを目的に、仮称“いかゼロエミッション調査研究会"の発足準備が進められている。参加者は北海道大学水産学部、道立工業試験センター、水産加工組合、関連企業、自主研究グループ、市関係部局が中心に、平成11年度、年5回程の会議が予定されている。 以上、今年度は当初計画していたイカ残滓有効利用技術の現状把握に加えて未来型技術の提案について、ならびに来年度に向けての具体的な成果を得ることができた。
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