1998 Fiscal Year Annual Research Report
野菜畑土壌-地下水系における投入窒素フローの解析とゼロエミッション化
Project/Area Number |
10141206
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
坂本 一憲 千葉大学, 園芸学部, 助教授 (10225807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
犬伏 和之 千葉大学, 園芸学部, 教授 (00168428)
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Keywords | 肥料窒素 / 硝酸態窒素 / 亜酸化窒素発生 / 地下水汚染 / 地球温暖化 |
Research Abstract |
本研究は畑土壌に投入された肥料Nに由来する環境負荷量,すなわち地下への硝酸態Nの溶脱とN_2Oの発生を定量的に解析し,そのゼロエミッション化に向けた基礎的知見を得ることを目的としている.作年度は,野菜圃場に化学肥料(CF),緩効性肥料(SRF)および牛ふん堆肥(MA)を各々標準量および2倍量施用し(合計6処理区),土壌水中の硝酸態N濃度および土壌表層からのN_2O発生量を測定した.本年度は硝酸態NおよびN_2Oの発生メカニズムを解明する目的で,圃場の作土層の無機態N量および硝化・脱窒菌数について調べた.得られた結果は以下のとおりである. 1) 各試験区の硝酸態Nの溶脱量は,肥料施用後経時的に増加したが,いずれの時期も施用量に関わらずCF区>SRF区>MA区であった.同様の傾向が作土層における無機態N量についても見られたことから,硝酸態Nの地下溶脱量は作土層における硝化活動と密接な関係にあると考えられた. 2) 作付期間中(6月〜11月)のN_2O発生量は,CF2倍区の値が他の区より高かった.肥料施用後の30日間は活発な硝化活動が行われていたことから,作付期間中のN_2O発生は主に施肥直後の硝化菌の活動に由来すると考えられた.これに対し,非作付期間中(12月〜5月)のN_2O発生量は標準区および2倍区ともSRF区およびMA区で高かった.これらの区では積雪や降雨の後に高いN_2O発生を示しており,急激な土壌水分の増大で酸素分圧の低下が起こり,脱窒菌によるN_2O発生が生じたものと考えられる. 3) アンモニア酸化菌数はCF区>SRF区>MA区となり,作土層における硝化活動が硝酸態Nの地下溶脱量と施肥直後のN_2O発生量に影響しているという先の推察を支持する結果となった.脱窒菌数は,SRF区の菌数がCFF区とMA区に比べて顕著に高かった.この原因については不明であり,その機能も含めて今後の詳しい検討が必要である.
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