1998 Fiscal Year Annual Research Report
果樹農業地域の肥料成分:無機体交換体を媒体としたゼロエミッション化の検討
Project/Area Number |
10141215
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
風間 ふたば 山梨大学, 機器分析センター, 助教授 (00115320)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 喬 山梨大学, 工学部, 教授 (60020385)
|
Keywords | 肥料成分 / 窒素 / リン / 硝酸性窒素 / 無機体交換体 / ハイドロタルサイト系化合物 / パイロライト系化合物 |
Research Abstract |
本研究は、果樹農村地域における肥料成分について、無機イオン交換体を媒体としたゼロエミッション化を検討することを目的とした。無機イオン交換体の一つハイドロタルサイト系化合物はアニオン★交換性である。この性質を利用すれば、農村や周辺の市街地から排出される家庭雑排水中のリンを農地還元するための吸着材として、また土壌中の窒素成分(硝酸イオン)を吸着してその肥料効果を流亡させないための土壌改良材としての機能が期待できる。 本研究においては、(1)数種のハイドロタルサイト系化合物の合成とその機能評価、並びに(2)山梨県内の果樹地帯をモデルケースとし、この地域の窒素やリンのフロー解析と無機イオン交換体使用における有効性の推定・評価を行うよう計画していた。 (1)に関しては、ハイドロタルサイト系化合物は硝酸イオン選択性が弱くリン選択性が強いこと、一方パイロライト系化合物はほぼ一様に各陰イオンを交換するがリンの選択性はやや弱いため、硝酸イオン除去に有効であることがわかった。またリンや硝酸イオンの交換における共存イオンとしては炭酸系イオンの影響が大きいことも確認できた。(2)に関しては、今回検討の対象とした地域のリンや窒素のフロー解析のための基礎データとして、山梨県内における施肥量の推定を行った。各県への肥料出荷量は肥料要覧(農林水産省肥料機械課監修)により求められるが、普通肥料の代表的なものについてのデータしかなく、また堆肥等の特殊肥料についての統計値は含まれていない。そこで県内の農協を通じて販売された肥料の販売実績より、施肥量の推算を試みたところ、平成9年度に販売された肥料は約54,000トンであり、これは肥料要覧で本県に出荷されたと記載されている量の1.8倍であった。販売された各肥料中の成分割合から県内に投入された窒素およびリン量を求め、県内の各農業地域における投入量で比較した。
|