1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10141216
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
戸田 任重 信州大学, 理学部, 助教授 (60291382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 秀剛 信州大学, 理学部, 教授 (60087129)
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Keywords | 窒素 / 窒素負荷 / 水質汚染 / 物質循環モデル / 集水域 / 河川 / 千曲川 / 長野県 |
Research Abstract |
中山間地の典型である長野県千曲川・犀川流域を対象とし、行政統計資料を用いて、過去20〜30年間にわたる窒素負荷発生量の変遷を調べ、主要な汚染源を明らかにし、窒素負荷発生機構と河川水の水質との関係を検討した。 1. 対象流域内の最大の窒素負荷発生源は、家畜排泄物であり、次が家庭排水、農耕地からの流出の順であった。家畜飼養頭数・農耕地面積の減少にともない、家畜・農耕地由来の窒素負荷発生は減少している。 2. 1980年以降、化学肥料流通量(≒使用量)は、農耕地での必要施肥量を大きく下回るようになり、その分、畜産排泄物の農地還元が進んでいるものと考えられる。1990年以降は、畜産排泄物の大部分は、農地に還元されている計算になった。 3. 流域での窒素負荷低減に対する家庭排水処理の寄与は小さい。ヒトの屎尿は、屎尿処理場で処理されていたので、下水道の普及による、家庭排水からの新たな窒素負荷削減(上乗せ)はわずかである。ただし、窒素除去効率の改善は技術的には可能となっており、その技術が普及すれば下水処理による大幅な削減が期待できる。 4. 流域内の窒素流出量は、過去30年間で23,000トンから13,000トンへ半減した。それには、畜産廃棄物の農耕地還元と化学肥料使用量の減少が大きく寄与している。ただし、この窒素流出量の減少は、河川の窒素流下量には必ずしも反映されていなかった。 5. 今後流域での窒素負荷をさらに削減するには、流域外から流入する窒素(飼料・食料・肥料)まで含めた削減計画が必要である。
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