1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10144212
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川崎 昌博 京都大学, 工学研究科, 教授 (70110723)
|
Keywords | 対流圏オゾン / BrO / CRD / キャビディリングダウン分光 / 反応速度定数 / 吸収スペクトル / ラジカル |
Research Abstract |
対流圏オゾンの寿命を決めているラジカルの一つであるBrOの大気化学反応のうち、Br+O_3→BrO+O_2(反応1)の反応速度定数を測定するため、Cavity Ring-Down長光路吸収分光法を開発した。反応容器内に大気圧の窒素、微量の臭素およびオゾンを流した。臭素を532nmで光分解してBr原子を生成し、反応1により生成してくるBrO濃度の時間変化を追跡した。生成BrO濃度は10^<12>cm^<-3>オーダーであった。BrOのA-X(7,0)バンドのスペクトルを測定したところ、文献のスペクトルと一致していた。得られた反応1の速度定数は、4x10^<-12>cm^3/molecule・sであった。文献値とくらべ約3倍大きな値となった。 臭素の光分解とBrOのプローブのタイミングを更に遅くしていくと、BrO濃度の減衰を観測することができた。この減少はBrO+BrOなる自己再結合反応とみなして、その速度定数を計算すると、1.9x10^<-12>cm^3/molecule・sが得られた。従来報告されているBrOの再結合反応速度定数には2種類あって、BrO+BrO→2Br+O_2(反応2)が2.62x10^<-12>cm^3/molecule・sで、BrO+BrO→Br_2+O_2(反応3)が3.06x10^<-13>cm^3/molecule・sである。測定はO_3過剰条件で行われたので、反応2で生成するBrは反応1によりすぐさまO_3と反応しBrOを再生する。そのため観測されたBrO減少の速度定数は反応3の速度定数と等しくなる。我々の値は文献値より約-6倍大きな値であった。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] M.D.Wheeler: "Cavity ring-down spectroscopy of the A^2II_<3/2>-X^2II_<3/2> transition of BrO." Chemical Physics Letters. 285(5). 346-351 (1998)
-
[Publications] Y.Tanaka: "Photodissociation of Cl_2O and HOCl at 235 and 266 nm" Journal of Chemical Physics. 109(1). 1315-1315 (1998)
-
[Publications] A.Ravishankara: "Atomospheric photochemistry of ozone:Surprises and recent lessons" Science. 280(5360). 60-61 (1998)