1998 Fiscal Year Annual Research Report
対流圏有機エアロゾルの起源推定のための分子炭素同位体組成リストの作成
Project/Area Number |
10144215
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
石渡 良志 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90087106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奈良岡 浩 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20198386)
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Keywords | エアロゾル / 有機物 / 植物 / 炭素同位体比 / アルカン / 陸上高等植物 / 有機エアロゾル |
Research Abstract |
本研究の目的はエアロゾル有機物の起源と輸送過程の解析の基本となるデータベースを作成することにある。計画としては陸上植物(C3植物(非草本植物)とC4植物(草本植物))を採取し、乾燥試料を調製すると共に、n-アルカンの炭素同位体比を測定する。植物葉試料の採取および試料の乾燥、粉砕、粉末化を行なった。いずれの試料も約100g、凍結状態(-20℃)で保存した。植物試料の長鎖n-アルカンの分子組成と炭素同位体比を測定し,以下の結果を得た。(1)長鎖n-アルカンの分子組成:主な長鎖n-アルカンはスギ、ヒノキ(裸子植物)がC33,C35から成る。ククスノキ、クヌギ、ヤブツバキ(被子植物)ではC27,C29,C31が主なn-アルカンである。(2)長鎖n-アルカンの炭素同位体比:裸子植物は概ね-30--34‰の値を示す。これに対して、被子植物のd13C値は-31--39‰と測定値の幅が大きい。被子植物のn-C29アルカンのd13C値は裸子植物のそれより軽い傾向を示す(平均して3‰程度)。一方、シバやカヤ(C4植物)は同位体的に重い値を示す。これらの結果から、陸上植物葉の炭素同位体比は有機エアロゾルの輸送過程の解析に対して、重要な情報源となることが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 森永茂生,石渡良志: "合成メラノイジン(モデル堆積腐植物質)の芳香族構造生成への炭水化物およびアミノ酸の寄与:13C標識グルコースを用いた検討" 地球化学. 32. 97-104 (1998)
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[Publications] M.Ishiwatari, K.Yamada & R.Ishiwatari: "Compositional and carbon isotopic behavior of C19 and C20 isoprenoid hydrocarbons produced by laboratory heaging of phytol : a study of formation of pristane and phytane from chlorophylls on diagenesis" Chemistry Letters 1999. 43-44 (1999)
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[Publications] R.Ishiwatari他: "Source of organic matter in sinking particles in the Japan Trench : Molecular composition and carbon isotopic analysis" Dynamics and Characterization of Marine Organic Matter (Ed.N.Handa et al). 印刷中. (1999)
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[Publications] R.Ishiwatari et al.: "Organic molecular and carbon isotopic records of the Japan Sea over the past 30 kyr" Paleoceanography. 印刷中. (1999)