1998 Fiscal Year Annual Research Report
ファージディスプレー法による機能性ヘム集合体のデザイン
Project/Area Number |
10145230
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
江崎 信芳 京都大学, 化学研究所, 教授 (50135597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 徹 京都大学, 化学研究所, 助教授 (70182821)
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Keywords | ファージディスプレー / グルタミン酸ラセマーゼ / ヘミン |
Research Abstract |
本研究では、それ自体反応性に富む低分子化合物と蛋白質との複合体を作製し、その低分子化合物の持つ反応性を制御し、触媒として応用しうる新たな系を創出することを目標とした。具体的には、非ヘム酵素であるがミオグロビンと一次構造上の相同性を示し、ヘムと弱い結合をするグルタミン酸ラセマーゼ(GluR)を基に、ファージディスプレー法を用いて多様な結合様式をもつGluR-ヘム複合体を調製し、新しい機能を有するへムタンパク質複合体の構築を目指した。このためpBluescriptに由来するファージミド6D9wt-pComb3を基に、M13ファージコート蛋白質gpIIIのN-末端部分にGluRを融合タンパク質として発現するためのファージミド、GR-pCom3を構築した。ファージコート蛋白質上のGR発現は、ファージ液をSDS-PAGE上に展開し、GluR抗体でwestern blottingすることにより確認した。次ぎにEAH sepharose 4Bとヘミンを結合させた固定化ヘミンに対する、GR発現ファージの結合能を検討した。10^8個のGR発現ファージ粒子を含むファージ液と、対照実験として、ヘミンと構造上の類似性をもたないクロラムフェニコール誘導体に対する抗体を発現した同数のファージ(Phage-6D9)をヘミン・EAH sepharose 4Bカラムに供し、高塩濃度の緩衝液で洗浄した後、低塩濃度の緩衝液で溶出した。この結果、1.6x10^5個のGR発現ファージがカラムに結合したのに対し、Phage-6D9の結合は認められなかった。本研究では、GluRのファージコート蛋白質上への発現、およびpanningシステムの構築が確認できたが、ファージコート蛋白質、gpIII中のGluR融合タンパク質の存在確率は極めて低いものと考えられた。
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