1999 Fiscal Year Annual Research Report
(特異な非局在電子系の創出297-AO1)拡張共役電子系
Project/Area Number |
10146102
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小田 雅司 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60004438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 一彦 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80124220)
小松 紘一 京都大学, 化学研究所, 教授 (70026243)
大坪 徹夫 広島大学, 工学部, 教授 (80029884)
山下 敬郎 大阪大学, 分子科学研究所, 助教授 (90116872)
戸部 義人 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (60127264)
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Keywords | ベルト型共役系 / 三次元ポリイン / パイ-シグマ拡張共役電子系 / 空孔内包摂 / 分子ワイヤー / 分子・結晶構造制御 / 安定カチオンラジカル / 共役系電子構造 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、構造・物性・機能の観点から発展が期待される種々のタイプの新規な拡張型共役電子系の開発に向けて、分子設計、合成、構造解析、物性解析を遂行した。 (1)サイクリックパラフェニルアセチレン([n]CPPA)の内、約13Å(PM3)の空孔を持つ[6]CPPA1の包摂能について詳細な検討を行い、1がヘキサメチルベンゼンやフラーレンC60,C70と錯体を形成することが明らかになり、特にフラーレン類とは約10^7におよぶ大きな錯形成定数が観測された。これらの錯体においてフラーレンは常温では速く出入しているが、低温温度可変NMRにより約10kcal/molと比較的大きな解離の活性化自由エネルギーが測定された(小田)。 (2)昨年度、分子ワイヤーとして興味深い1次元拡張共役系として、可溶性オリゴチオフェンを34量体まで系統的合成した(鎖長>10nm)が、さらに41、48量体の合成を達成し、これらのオリゴマーの導電性に関して詳細な検討を行い、20量体程度の共役セグメントが電導性に寄与しているとの結論が得られた(大坪)。 (3)昨年、シグマ電子が深く関与する拡張共役電子系として、ビシクロ[2.2.2]オクテンが縮環したナフタレン、アントラセン、ビフェニレンなどの合成を達成しそれらの構造と物性を明らかにしたが、今年度は硫黄原子を含む3種類の新規化合物の合成に成功し、それらの性質について詳細に検討した(小松)。 (4)前年度に高反応性3次元ポリインの発生に成功し、フラーレンへの変換が質量スペクトルより強く示唆されたが、さらに進めて塩素誘導体の合成を行い、その陽イオンモードのLD MSおいてより明確にフラーレンのピークが観測され、マクロ量のフラーレン合成に向けて一歩前進した(戸部)。 (5)先にテトラチアフルバレンビニローグのビニール部に種々の置換基を導入すると、物性や構造の精密制御が可能であることを見いだしたが、さらに進めるとともに構造-物性・機能相関を検討している(山下)。 (6)有機電子デバイス開発の観点から、種々の拡張共役系化合物を薄膜化し、紫外光電子分光法やペニングイオン化電子分光法などの物理化学的手段を用いて、それらの電子構造および金属との界面における電子構造を解明を続行し、新たに新置換ポリアセチレンの電子構造も共同研究により解明した。(関)。
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[Publications] Masaji Oda et al.: "Dibenzoannulated 3, 5, 3", 5"-Tera(t-butyl)-p-terphenoquinone. A Reversible, Photochemical-Thermal Switching System Involving Restricted Conformational Change"Chemistry Letters. 1999. 749-750 (1999)
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[Publications] Masaji Oda et al.: "Generation and Reactivity of 2, 4, 6-Triphenylpyridyl Radicals Linked by Alkyl Chains"Synthetic Metals. 103. 2304-2305 (1999)
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[Publications] Tetsuo Otsubo et al.: "The Longest Class of Oligothiophenes"Synthetic Metals. 101. 604-605 (1999)
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[Publications] Kouichi Komatsu: "Cyclic p-conjugated Systems Annelated with Bicyclolakene Frameworks"European Journal of Organic Chemistry. 1999. 1495-1502 (1999)
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[Publications] Kouichi Komatsu et al.: "The First Isolation of the Hexafluoroantimonate Salt of 1, 4-Dithiin Radical Cation Stabilized by Bicyclo[2.2.2]octene Annelation"Tertrahedron Letters. 40. 4375-4378 (1999)
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[Publications] Kazuhiko Seki et al.: "Electronic Structure of Poly(1, 10-Phenanthroline-3, 8-diyl) and its k-doped State Studied by Photoelectron Spectroscopy"Journal of Chemical Physics. 110. 2552-2557 (1999)
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[Publications] Yosito Tobe et al.: "Pyridine analoue of macrocyclic polyyne C58H4N2 as a precursor to diazafullerene C58N2"J. Chem. Soc. Chem. Commun.. 1999. 1625-1626 (1999)
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[Publications] Yosiro Yamasita et al.: "Novel TTF Vinylogs Affording Stable Cation Radicals"Synthetic Metals. 102. 1730-1731 (1999)