1998 Fiscal Year Annual Research Report
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10146206
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大塩 寛紀 東北大学, 理学研究科, 助教授 (60176865)
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Keywords | 有機ラジカル / 磁性 / 超分子 |
Research Abstract |
本研究では有機ラジカルと金属イオンからなる超常磁性クラスターの合成を目指した.超常磁性特有の物性発現には高いスピン多重度と異方性を合わせ持つ分子の構築が必要である.そこで,まずクラスターのビルディングブロックとなる基底高スピン分子の合成から始めた.スピン分極機構でスピンを揃えた有機ラジカル配位子をそれと直交する磁気的軌道を持つ金属イオンで集積化することにより高スピン錯体が得られる.配位子bisimpyはピリジンのメタ位に二つのイミノニトロキシドをもつ基底三重項ビラジカル配位子であり,σスピンを持つ金属イオンCu(II),Co(II)および反磁性金属イオンZn(II),Ag(I)を中心金属に持つ錯体[M(bisimpy)]^<n+>を合成しその磁性について検討した. [Cu(II)Cl(bisimpy)l(MeOH)](PF_6)(1),[Co(II)Cl(bisimpy)(MeOH)_2](PF_6)(2)は配位したビラジカル間およびラジカル-金属イオン間にそれぞれ300K以上,約100Kの強磁性的相互作用をもつ高スピン分子(1:S=3/2;2:S=5/2)である.一方,反磁性金属イオンを中心金属に持つZn(II),Ag(I)錯体はラジカル間の磁気的相互作用が小さい基底一重項分子であり,有機ラジカル配位子内のスピン分極が常磁性金属イオンにより誘起されることが示唆された.
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[Publications] 大塩寛紀: "Self-Assembly Tetranuclear Cu(π)Complex of a Bidentate Schitt Base" Chem.Commun.63-64 (1998)
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[Publications] 大塩寛紀: "Assembly of Metal Complexes" Mol.Cryst.Liq.Crys.in press.
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[Publications] 大塩寛紀: "Radical Double Helicates of Silver Imino Nitroxides" Inorg,Chem.accepted.