1998 Fiscal Year Annual Research Report
ドナー・アクセプター結合型高極性両性分子の集合化と構造・物性
Project/Area Number |
10146224
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 直樹 京都大学, 化学研究所, 教授 (10170771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 弘幸 京都大学, 化学研究所, 助手 (00283664)
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Keywords | 両性分子 / 分子極性 / 分子内電荷移動 / 準非局在電子系 / 分子集合化制御 / 電子物性 |
Research Abstract |
電子供与性と受容性の基を準非局在共役電子系で結び、高い両性をもつ極性分子(HAPM)を設計・合成して、分子内と分子間の双方に働きうる電荷移動相互作用を利用し新規電子物性の望める分子システムを構築すべく、様々な分子集合化を試みてその構造や光・電気物性を測定し、その特徴を捉えるのが本研究の目的である。 今年度は、BEDT-TTFとTCNEのそれぞれ半分をキノノイドでつないだ分子をHAPMのテスト分子に選び、分子軌道計算による分子特性の予測、合成とその両性度のキャラクタリゼーションなどを中心にして研究を進めた。なお、試料の合成や結晶化・電気測定の試行など種々の取扱いに不可欠であった不活性雰囲気は、本補助金で購入した真空ガス置換型グローブボックスの利用により実現できた。この装置がなければ本研究は成立しない。 テスト分子の半経験分子軌道計算の結果は、両端の基の電子的特性を保持しながら分子内電荷移動も中規模に実現しており、この分子がHAPMの特性をそなえていることを勇示唆した。キノノイドの結合系を拡張した分子の計算結果も大きな遷移双極子モーメントや振動子強度を示し、これらの最低エネルギー吸収波長に深色効果が販著なことからも、HAPMに期待される分子特性とこれらの特徴には相通じるものがある。 実際に得たテスト分子は溶解性が低く熱的にも不安定なため、十分な精製や溶液相・気相での結晶・薄膜成長は困難だった。しかし、希薄溶液の電子スペクトルはg、MO計算による最低一重項遷移波長406nmより著しく長波長の670nmに最長波長吸収帯を示し、会合効果を示唆した。また、CVの結果も酸化/還元の電位差1.615Vを与え、多段階レドックス系のPDPL(0.99V)よりは低いが狭ギャップ半導体のBTQBT誘導体と同程度(1.65V)の両性を明らかにした。今後、これらの特性を伸ばした分子を考え集合化制御に向けて研究を進める。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Oda and N.Sato: "Theoretical study on the topochemical nature in the initiation process of the solid-state thermal isomerization reaction of methyl 4-(dimethylamino)benzenesulfonate." J.Phys.Chem.B. 102. 3283-3286 (1998)
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[Publications] N.Sato, I.Kawamoto, T.Sakuma E.A.Silinsh, and A.J.Jurgis: "A Molecular design towards a highly amphoteric and polar molecule(HAPM)to assemble novel organic solid-state structures." Mol.Cryst.Liq.Cryst.(in press.). (1999)