1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10146241
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石川 雄一 九州大学, 有機化学基礎研究センター, 助教授 (30184500)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 健夫 大分大学, 工学部, 助教授 (80261501)
|
Keywords | 反転ポルフィリン / π共役拡張 / アゾベレゼン / 内部炭素 |
Research Abstract |
反転ポルフィリンは、環の構成単位である一つのピロール環が反転しているために、外周に一つの窒素が存在し、環の中心に三つの配位窒素と一つの内部炭素を持つ構造を取る。本研究では、この内部炭素を「ちょうつがい」として第二共役システムとしてアゾベンゼン基を連結させる事を目的とした。 反転ポルフィリンにおける内部炭素へのアゾベンゼンの導入は、内部炭素にアミノ基をもつ化合物の利用を核に進めた。アミノ基の導入は、合成を既に確立していた内部炭素上をニトロ基のスズ/塩酸を利用した還元により得た。アゾベンゼン基の導入は、(1)この内部炭素上のアミノ基をジアゾニュウムイオン化する方法、(2)ニトロソベンゼンをこのアミノ基に反応させる方法、さらに(3)フェニルジアゾニュウム塩を内部炭素に未修飾の反転ポルフィリンと反応させる三つの方法を試みた。また、反転ポルフィリンは、フリーベースとニッケル錯体を利用した。 一番目のアミノ化反転ポルフィリンのジアゾニュウム化は、亜硝酸ナトリウムの塩酸水溶液を利用する通常の方法では進行しなかった。三番目のフェニルジアゾニュウムのテトラフルオロほう酸塩を作用させる方法では、フリーベース体からはπカチオンラジカルとなり、Ni(II)錯体はNi(III)体のESR活性種になる事を見いだした。即ち、フェニルジアゾニュウム塩は酸化剤として作用している。二番目のニトロソベンゼンを過剰に使用する方法で初めて、フェニルアゾ基が内部炭素に直結した目的物を得た。ただし、これは過剰のニトロソベンゼンが酸素化剤としても働くためオキシド化したアゾ基を与えている事がX線構造解析により明かにした。
|