1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10147212
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山岡 均 九州大学, 理学部, 助手 (70243855)
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Keywords | 恒星の進化 / 重元素量 / 核反応率 / 超新星爆発 / 銀河の化学進化 |
Research Abstract |
大小マゼラン銀河は、我々の銀河系に比べて重元素量が少なく、それに属する恒星は、我々の銀河におけるものとは違う進化を遂げる。恒星はその進化の最終段階で、それまで内部で合成してきた、あるいは爆発時に合成した重元素を放出し、銀河の重元素量を変化させていく。特に大小マゼラン銀河の化学進化を理解するため、重元素量の少ない恒星の進化のモデルを作成することが急務となっている。 今年度はこの準備として、恒星の観測的物理的諸パラメータのサーベイを行なった。まず、質量放出率に関して言えば、大小マゼラン銀河における恒星の観測はそれほど系統的ではないことがわかった。このため、現段階での計算においては、われわれの銀河における質量放出率に、重元素量に比例した係数を掛けたような値を用いることが適当であることがわかった。 また、原子核反応率の新しい値を使用するため、コード改良によって原子核反応をimplicitに扱う試みも行なったが、計算に不安定が生じ、さらにチューニングが必要であることがわかった。このため、今年度はexplicitな級いで、中質量星の進化について調べた。その結果、Ia型超新星の親星として注目される白色矮星の組成比や大きさなどについて、新しい知見を得た。 一方、銀河の化学進化に大きな寄与を持つ超新星の外層部の組成を知るため、発見後できるだけ速く分光観測が行なわれるように速報システムを構築する試みを行なっている。美星天文台の協力を得てわれわれ自身の観測も行ない、われわれがタイプを決定した超新星を海外のガンマ線衛星が観測して、史上3例目の超新星からのラインガンマ線の検出に成功するという成果を得た。
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[Publications] H.Umeda et al.: "Evolution of 3-9 M.Stars for Z=0.001-0.03 and Metallicity Effects on Type Ia SNe" Astrophysical Journal. 513(印刷中). (1999)
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[Publications] H.Yamaoka et al.: "Supernova 1998T in NGC 3690" IAU Circular. 6859. (1998)
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[Publications] K.Ayani et al.: "Supernova 1998an in UGC 3683" IAU Circular. 3878. (1998)
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[Publications] K.Ayani et al.: "SUpernova 1998aq in NGC 3982" IAU Circular. 6878. (1998)
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[Publications] K.Ayani et al.: "Supernova 1998bu in NGC 3368" IAU Circular. 6905. (1998)
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[Publications] K.Ayani et al.: "Supernova 1998es in NGC 632" IAU Circular. 7059. (1998)