1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10148201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大貫 惣明 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10142697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兜森 俊樹 (株)日本製鋼所, 室蘭研究所, 主任研究員
谷脇 雅文 高知工科大学, 工学部, 教授 (20133712)
須田 孝徳 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50301940)
渡辺 精一 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60241353)
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Keywords | 水素吸蔵合金 / イオン注入 / 初期活性化 / 表面ナノ構造 / 表層改質 |
Research Abstract |
水素吸蔵合金の水素化特性を改善する新しい試みとして,イオン注入による表層改質を実施した。吸蔵合金にイオン注入を適用した場合,(1)スパッタリングによる表層清浄化,(2)任意元素の非平衡濃度注入,(3)多量の格子欠陥による拡散促進などの効果が期待できる。本研究の目的は,水素化特性に及ぼすイオン注入の影響を調査し,表層ナノ構造との関係を明確にすることである。 今年度は,ZrNiの初期活性化について検討した。試料にイオン注入領域と未注入領域を形成し,試料表面の水素化による変化を観察した。また,表層ナノ構造はTEMにより観察した。イオン注入は,水素,ヘリウム,アルゴンイオンを100keV,室温にて行い,注入量を5X10^<15>〜1X10^<17>ions/cm^2とした。 1.水素イオン注入の影響:注入領域において多数のクラックの発生が見られ,クラックは未注入領域との境界付近で進行が止まった。すなわち,水素イオン注入は合金の初期活性化を明確に促進することが判明した。その原因は,表面近傍において非平衡に濃化した水素が水素化物を形成したため,水素の拡散が促進したものと考えている。2.アルゴンイオン注入の影響二水素イオン注入とは逆に,初期活性を明確に抑制することが判明した。TEM観察から,注入したアルゴンはバブルを形成していない。そのため,表面近傍で高濃度に分散された状態であることが推察される。すなわち,分散したアルゴンが水素の拡散パスを塞いだことが原因であると考えている。3.ヘリウムイオン注入の影響:水素及びアルゴンイオン注入のような明確な影響が現れなかった。しかし,現在の条件より注入量を増加させると,アルゴンと同様な現象が起こると推定できる。 今後は,イオンミキシングを使った合金改質に進展する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Suda,T.Yonezawa,H.Arashima S.Ohnuki and T.Kabutomori: "Improvement of Hyolriding Property in ZrN:Alloy by Means of Inplatation" Materials Research Society Symposium Proceedings. 504. 227-230 (1999)
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[Publications] 須田孝徳、小林良一、渡辺精一、大貫惣明、高橋平七郎、荒島裕信、兜森俊樹: "水素吸蔵合金の微粉化に及ぼす材料因子の検討" 日本金属学会誌. (印刷中). (1999)