1998 Fiscal Year Annual Research Report
急冷凝固およびMGによるMg_2Ni系合金の非晶質化とプロチウム吸蔵特性
Project/Area Number |
10148211
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
小島 陽 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (60016368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌土 重晴 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (30152846)
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Keywords | Mg_2Ni系合金 / プロチウム吸蔵合金 / 急冷凝固 / メカニカルグラインディング / PCT曲線 / プロチウム吸蔵速度 / ミクロ組織 / プロチウム吸蔵量 |
Research Abstract |
本研究ではMg_2Ni水素化物を不安定化させることにより吸・脱蔵温度を低下させることを目的として、第三元素による置換を試みた。まず、Mg_2Ni合金の水素化物生成エンタルピーの絶対値を減少させると予想される第三元素(Mn,Fe,Co,Cu,Al,ZnおよびAg)を選択し、合金溶製した。得られた合金のMg_2Ni相への第三元素の固溶量の増加と組織の均質化を図るため、Ar雰囲気中にて急冷凝固およびメカニカルグラインディン(MG)を行った。得られた試料のミクロ組織観察を行い、プロチウム吸蔵特性を測定した。プロチウム吸蔵特性としては、水素雰囲気中での室温からの300℃までの昇温中に吸蔵されるプロチウム量、250℃における圧力-組成等温曲線(P-C-T曲線)および吸蔵速度曲線を求めた。得られた結果を要約すると以下のようになる。 1. 急冷凝固およびMGにより比較的均質で微細な組織が得られ、16hのMGにより粒径約1μmの微粉末となる。しかし、いずれの合金でもMg固溶体あるいはMgNi_2相等が観察され必ずしもMg_2Ni単相とはならない。 2. 活性化前の状態ではMg_2Ni_<0.9>Fe_<0.1>合金MG材のプロチウム吸蔵開始温度が最も低いが、活性化後には新規表面の生成およびそれに伴う反応面積の増大により各試料とも室温付近から吸蔵し始める。 3. P-C-T曲線の測定結果から、各試料のMg_2Ni相のプラトー圧力は、吸蔵時,放出時ともにほぼ一定値を示す。最大プロチウム吸蔵量はMg_2Ni_<0.9>Fe_<0.1>合金急冷凝固材が最も多い。鋳造材,急冷凝固材およびMG材それぞれについてNi-rich Mg_2Ni合金と比較すると、Mg_2Ni_<0.9>Fe_<0.1>合金の方が吸蔵量が多い。 4. Mg_2Ni_<0.9>Fe_<0.1>合金急冷凝固材は急冷凝固による組織の微細化によりプロチウム吸蔵速度が最も速くなる。 以上の結果から、急冷凝固あるいはMGとMg2Ni合金のFeの置換は、プロチウム吸蔵特性の改善に有効であると考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 奥村勇人: "急冷凝固およびMGしたMg_2Ni系合金のミクロ組織およびプロチウム吸蔵特性" 第123回日本金属学会秋期大会講演概要集. 466 (1998)
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[Publications] 内田良平: "Mg_2Ni系プロチウム吸蔵合金の吸蔵・放出特性" 第95回軽金属学会秋期大会講演概要集. 219-220 (1998)
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[Publications] 田端享: "Mg_2Ni系合金のプロチウム吸蔵・放出特性に及ぼす置換元素の影響" 第96回軽金属学会春期大会. 発表予定. (1999)