1998 Fiscal Year Annual Research Report
π共役集積構造を利用したプロトン共役多電子系の構築
Project/Area Number |
10149246
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山元 公寿 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (80220458)
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Keywords | 多電子移動 / π共役高分子 / 酸素4電子還元 / 集積型金属錯体 |
Research Abstract |
本研究はこの「一段階多電子移動」を「プロトン内蔵π共役高分子のレドックス過程」と連動させて「プロトン移動と共役した新しい多電子循環系」の構築を目的とする。これを気体小分子(酸素など)活性の電子媒体として作動させた分子変換系を確立し、集積型金属錯体の新しい化学機能として提案する計画を推進した。以下今年度の成果について述べる。 1. 一段階多電子過程を担う銘体集積構造の制御要件の解明 同一の電位で複数の電子を連続的に移動させることのできる錯体、μ-オキソバナジウム複核錯体 [V^<III>OV^<IV>(salen)_2])が酸素4電子還元触媒として働くことを見出した。4-3価の低原子価錯体は酸素に接触後、4-5価の高原子価オキソ鉗体[V^VOV^<IV>O(salen)]_2]へ変換される。低原子価および高原子価両方のm-オキソ複核錯体を反応系より単離されたことにより、酸素4電子過程の中間鉗体構造が初めて確定された。 μ-オキソ複核鉗体(V^<III>OV^<IV>)に酸素分子が配位、μ-ジオキソが開裂して高原子価オキソ複核鉗体(V^VOV^<IV>O)が生成する。これがプロトン付加の脱水を伴いながら基質を2電子酸化、低原子価鉗体(V^<III>OV^<IV>)に再生される循環機構が解明された。μ-ジオキソ構造への一段階4電子移動が酸素4電子還元の重要な要件であることを結論付けた。 2. プロトン内蔵型レドックス高分子の合成 大気中性下でもμ-ジオキソ集積構造への連続的な多電子移動を可能にするため、レドックス担体として作動する新規ポリジカルポキシアニリン(PCAn)を合成した。従来の共役高分子に較べ幅広いpH領域(pH=0〜7)で2段の安定な酸化還元波を示す事が明かとなった。配位基を持ち、酸性のドメインを形成、さらに自己ドープ型導電性高分子なので幅広いpH領域でレドックス活性を保持できることが特徴である。
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Research Products
(1 results)