1998 Fiscal Year Annual Research Report
AXB-24マウスの遺伝的肺発癌感受性の解析 : Pas1(Pulmonary adenoma susceptibility)遺伝子とKras2遺伝子の同一性の検証
Project/Area Number |
10151201
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
李 康弘 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (10261405)
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Keywords | マウス / 肺発癌 / 遺伝的感受性 / Pas1 / Kras2 / Par2 |
Research Abstract |
A/J(A)マウスはC57BL/6J(B6)マウスに比べ,ウレタン誘発肺発癌に約30倍感受性が高い。この差は主に第6染色体遠位部のPas1遺伝子の違いにより決定されている。以前より,やはり第6染色体遠位に存在するKras2癌遺伝子がPas1の候補として注目されている。しかし,AとB6を親系統とすAXB及びBXA recombinant inbred(RI)系マウスでは,肺発癌感受性とKras2遺伝子型が必ずしも一致しないことより,我々はむしろPas1とKras2は別個の遺伝子ではないかと推測している。本研究では,B6由来のKras2遺伝子を持つにも拘わらず,比較的高い肺発癌感受性を示すAXB-24RIマウスが,A由来Pas1を有しているか否かを連鎖解析により検討した。AXB-24が,A由来Pas1を有することが証明されるならば,Pas1とKras2が別個の遺伝子であると結論できる筈である。 しかしながら,予測に反してAXB-24は低感受性Pas1アレルを持つことが明らかになった。従って,Pas1とKras2の異同について積極的な結論を導くことはできなかった。ただし,AXB-24の既知のstrain distribution patternの分析によって,今まで不明であった第6染色体上のPas1領域遠位端をKras2より約1cM遠位のD6Mit15遺伝子座に確定することができた。また,AXB-24の感受性がPas1以外の遺伝子群により規定されていることも明白であり,同系統はそれら遺伝子の解析に有用と考えられた。 以上に加え,平成9年度に引き続き,我々が発見したPas1形質抑制遺伝子であるマウス肺発癌耐性遺伝子Par2のクローニングに必要なPar2-interval-specific congenic mouse strainの樹立を続行した。Par2は第18染色体に存在する。樹立には10回の戻し交配が必要と考えられるが,現在6回目を終了したところである。
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[Publications] Lee,G.-H.: "Mechanism of the paradoxical,inhibitory effect of phenobarbital on hepatocarcinogenesis initiated in infant B6C3F1 mice with diethylnitrosamine." Cancer Research. 58. 1665-1669 (1998)
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[Publications] Lee,G.-H.: "Genetic dissection of murine susceptibilities to liver and lung tumors based on the two-stage concept of carcinogenesis." Pathology International. 48. 925-933 (1998)