1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10152101
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福井 泰久 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00181248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 真理 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (20124604)
白井 隆一 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (80183838)
黒崎 知博 関西医科大学, 医学部, 教授 (50178125)
稲垣 昌樹 愛知県がんセンター, 生化学部, 部長 (30183007)
一條 秀憲 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (00242206)
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Keywords | がん / 情報伝達 / キナーゼ / Gタンパク質 / イノシトールリン脂質 / 細胞応答 / 発癌 / 転移 |
Research Abstract |
本研究班はがんの発生発達に関わる因子に関する研究を行なっている。本年度は主にras-MAP kinase系に関する情報伝達、リン脂質のがんへの寄与、および、Cキナーゼの役割について解析した。 リン脂質はおもにホスファチジルイノシトールの関与する情報伝達系について検討した。ホスファチジルイノシトールは細胞膜やその他の内膜で修飾され、細胞内情報伝達に関与しているとされるが、われわれの研究班では、それ以外に核でも同様の代謝が起こっていることを明かにした。PLCδ4は血清、リソホスファチジン酸、カルシウムイオノフォアなどの刺激により核内に発現が誘導されるし、PI3キナーゼは過酸化水素刺激により核に移行した。また、PI3キナーゼの産物であるポリリン酸化ホスファチジルイノシトールPIP3を各種合成し、生体内で代謝可能なものとそうでないものを識別した。また、合成PIP3を用いて、特異的な抗体の精製に成功した。一方、人がんへの関与に関しては、分化型の腺がん細胞に活性型PI3キナーゼを導入すると非分化型の印環細胞がん様に変化することを見いだした。また、印環細胞がん由来の細胞株では6例中4例においてPI3キナーゼが活性化されていることを認めた。このことから、悪性の非分化型腺がんの形成にはPI3キナーゼが関与していることが示唆された。現在、PI3キナーゼを活性化させていると思われる200kDのタンパク質の同定を急いでいる。一方、ASK1活性制御機構の解析は酵母のTwo-hybrid法の導入によりASK1結合タンパク質の同定を行い、チオレドキシンがASK1の細胞内阻害因子として機能していることを明らかにし、活性酸素を含むレドックスシグナルからMAP kinase系シグナルへの変換点としてASK1-チオレドキシンシステムが機能していることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kita,Y.et al: "Microinjection of activated phosphatidylinositol-3 kinase induces precess outgrowth in rat PC12 cells through the Tac-JNK signal transd uction pathway." J.Cell.Sci.111. 907-915 (1998)
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[Publications] Shirai,T.et al: "Specific detection of phosphatidylinositol3,4,5-trisphosphate binding proteins by the PIP3 analogus beads:An application for rapid purification of the PIP3 binding proteins" Biochem.Biophys.Acta. 1402. 292-302 (1998)
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[Publications] Fukui,Y.et al.: "Dovnstream of phosphatidylinositol-3 kinase,a multifunctional signaling moleculs,and its regulation in cell responses." J.Biochem.124. 1-7 (1998)
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[Publications] Takawa,N.et al: "Cyclin D1 expression mediated by phosphatidylinositol 3-kinase through mTOR-p70^<S6K>-independent signaling in growth factor-stimulated NIH3T3 fibroblasts." Mol.Cell.Biol.(in press). (1999)
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[Publications] Tanaka,K.et al: "Identification of protein kinase B(PKB)as a phosphatidylinositol3,4,5-trisphosphate binding protein in Dictyostelium discoideum." Biosci.Biotech.Biochem.(in press). (1999)
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[Publications] Tanaka,K.et al: "An evidence that a phosphatidylinositol3,4,5-trisphosphate binding protein can function in nucleus." J.Biol.Chem.(in press). (1999)